
簿価とは、「帳簿価格」を略した言葉をいい、もともと会計処理で用いられてきた専門用語です。不動産取引における簿価とは「不動産の取得価格」を指し、不動産売却のシーンでは損益計算をおこなううえで欠かせない情報となります。
簿価と対になる用語を「時価」といい、これは「不動産の現在の市場価値」を指します。不動産取引では簿価と時価を使い分けることで損益計算や売却のタイミングを見極めることができますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。下表で見ていきましょう。
土地・建物における簿価と時価の違い
特徴 | |
---|---|
簿価 | 減価償却によって年々減衰する |
時価 | 景気によって左右される |
不動産は土地・建物に分かれますが、建物の簿価は築年数が経過するほど減価償却により価値が減少していきます。そのため、時価が簿価を上回るタイミングがあれば、不動産の売却に最適な時期だと判断できます。しかし、「できるだけ安く買いたい」「妥当な価格(適切な相場)で買いたい」と考える買主様からは、値引き交渉が挟まれるケースもあるでしょう。
そのようなときに、保有する物件の簿価を知っておくと成約価格の根拠を提示できるため、買主様から値引き交渉を受けた際の交渉材料となります。
簿価が明確でないと正しい損益計算ができないことから、売却後の譲渡所得を正しく計算できないという不都合が考えられます。
譲渡所得が正しく計算できないと、正式に支払うべき税金がわからなくなります。
不動産を取得した当初の費用がわからなくなっている場合は、成約価格の5%相当額を簿価とすることが認められています。実際の取得費が成約価格の5%相当額を下回る場合も適用できるため、簿価がわからない場合に活用しましょう。
ただし、物件の取得価格が成約価格の5%になると非常に安い取得価格になるので、譲渡所得(税)が高くなる可能性があります。そのため、購入当時の売買契約書や通帳の履歴など、取得費用を証明できるものを探しておいた方が良いでしょう。
<簿価がわからなくなってしまう事例>
・先祖代々受け継がれている不動産を所有している
・所有する不動産の取得時期が古い
・親から相続した財産で譲渡手続きに関する情報を把握していない(家族任せ) など
<成約価格の5%相当額を簿価とする場合の例>
簿価がわからない土地建物を4,000万円で売った場合の取得費は、「4,000万円×5%=200万円」と計算できます。
また、減価償却される不動産は建物のみとなり、土地は取得年数による減価償却はありません。
不動産を売るタイミングを見極めるときは、売却による損益計算をおこないましょう。売却損益は次の式で計算できます。
【売却によって得た金額-(簿価+譲渡費用+取得時の諸費用)】
要するに、「売却金額-簿価」という単純な計算ではなく、売買時に発生した諸費用も加味して計算するということです。
簿価を求める際の建物の法定耐用年数については、国税庁がアナウンスする各種資料、ページから確認できます。また、譲渡費用や取得時の費用には以下のような費用が含まれます。
譲渡費用 | 取得時の諸費用 |
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譲渡費用や取得費は事例により含まれる費用が異なるため、適正な売却損益を求める場合は不動産仲介会社の担当者へ相談してみましょう。
不動産を売るタイミングは、既述のとおり、時価が簿価を上回ったタイミングが最適です。
しかし、損益計算をした結果、あまりに差が大きいと課税対象となる部分が多くなり、想定していたよりも利益が減ってしまう可能性があるため注意しましょう。
不動産売却のタイミングを考える際は、建物部分の減価償却分を忘れずに計算し、税金分を加えた損益を把握することが大切です。
不動産における簿価と不動産売却のタイミングについてまとめてまいりました。
不動産の売却では、損益計算で求められる利益の計算が大切なため、簿価と時価の関係性に注目する必要があります。
不動産の簿価は、建物部分は国税庁が定める法定耐用年数に則った減価償却によって値下がりし、土地部分の簿価は一定です。時価は景気に左右されるため、季節や流行、市場の動向など様々な条件によって変動することを念頭においておきましょう。
不動産売却時は売却による利益だけにとらわれず、課税対象となる部分にも注意する必要があります。
売却のタイミングで悩んだ場合は、不動産売却のプロである「すまいValue」へ相談をしてみてはいかがでしょうか。
土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
中村昌弘
宅地建物取引士
マンションディベロッパーにて、新築マンションの販売・仲介や用地取得の業務を経て独立。自身でも不動産売買経験があり、不動産投資にも精通している。現在は、不動産関係の記事も多数執筆しており、フリーライターとしても活動中。
最後までお読みいただき、
ありがとうございます。
ご回答ありがとうございました。
専任媒介契約を解除して他の会社へ依頼することは可能です。
ただし、途中解約の場合は諸費用が発生する可能性があるため、注意が必要です。
メリット:専任媒介契約では、2週間に1回以上売主様への報告義務があり、進捗がわかりやすい点がメリットです。
デメリット:複数の不動産仲介会社へ依頼することができないので、契約する会社を事前にしっかりと見極める必要があります。
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