タワーマンションは東京都心や地方都市を中心に建設が進み、右肩上がりでその数を増やしています。一般財団法人 日本不動産研究所によると、2019年に完成予定の20階建て以上の超高層マンションは300棟11万4,079戸にも上り、今後もその数は増えていく見通しです。
タワーマンションの供給が絶えないなか、問題視されているのが、今後中古タワーマンションが売れないのでは?という「タワーマンション危機説」です。
この背景には、今後の景気変動(中国人観光客による爆買いの沈静化、税法の改正による節税メリットの低下、東京オリンピック後の沈静化)が関係していると考えられ、様々な視点から中古タワーマンションの「価格下落」が囁かれています。
しかし、タワーマンションは眺望の良いハイエンドな暮らしの演出だけでなく、相続税対策や投資目的で購入する方もいるので、高い需要を持つ建物です。供給過多にある現在でも絶えず一定の需要があります。
そのため、景気により需要が左右されれば一時的にタワーマンションの価格下落が起こる可能性はありますが、必ずしも右肩下がりで低下し続けるわけではないことを知っておきましょう。
中古タワーマンションの価値を下げずに需要者から見たメリットを高めるには、適切なメンテナンスとリノベーションによる魅力づくりが欠かせません。
タワーマンションの価値を左右する要素の一つに、メンテナンスなどの修繕問題が挙げられます。築十数年あるいは数十年経過したタワーマンションは、設備の劣化や外観の問題から大規模修繕を余儀なくされるケースも少なくありません。
タワーマンションに限らず、マンションにおいても大規模修繕は行われますが、タワーマンションはその構造上マンションと比較して工数や期間、費用が大きく異なります。
タワーマンションの大規模修繕で難航しやすいポイントを以下にまとめました。
タワーマンションの大規模修繕では、その高さのため、足場を組んで外壁の修繕が行えない難点があります。またマンションの規模によっては工事が長期化するケースもあり、入居者への負担も想定されます。
タワーマンションの主な修繕箇所は以下のとおりです。
タイル貼り替え、外壁補修、鉄筋爆裂補修、シーリング工事、防水工事、屋上修繕、配管交換、耐震補強、床面工事、エレベーター交換 など
こうした箇所の修繕には多額の費用が必要とされ、入居者からの修繕積立金ではまかないきれないケースもあります。
特にエレベーターや給排水システムの交換は高額な修繕費用が必要です。
工事箇所や工事期間、費用の問題などにより新築当初の長期修繕計画の見直しが必要になるケースがあります。もちろん、建物を建築する際に「長期修繕計画」を策定していますが、建物自体が大きいため計画がブレてしまうリスクが通常のマンションよりも大きいのです。
計画変更の際は専門家との連携や入居している住民からの理解を得る必要があるなど、修繕計画の実行に向けて大きな負担がかかります。
上記の問題からタワーマンションの大規模修繕が先送りにされるケースが後を絶ちません。適切な修繕がなされないままだと、入居者の減少や価格の下落、スラム化という負のスパイラルに陥るケースもあります。
タワーマンションは管理体制や共用設備、眺望に優れた魅力ある物件です。しかしながら他のマンションと同じく、その資産価値の維持には立地の良し悪しが重要な要因となります。
近年は首都圏エリアだけでなく地方都市にもタワーマンションが進出しているため、立地によっては長期的な需要が見込めない場合も考えられます。立地条件で重視されるポイントを以下で確認しましょう。
最寄り駅からの距離が近いほど物件としての価値は高まります。駅周辺は生活に必要な施設が集中しやすいことから、施設充実度の面でも価値を見出されやすいでしょう。
都心までの距離や複数の路線が使えるかどうかなどは、交通の面で重要視されやすいポイントです。交通の利便性に優れたタワーマンションは、建物が持つ魅力に加えて「時間をお金で買える」という付加価値が加わり、高い需要を生みだします。
では、タワーマンションを有利に売却するにはどのような方法が考えられるのでしょうか。
タワーマンションの売却において、「必勝法」はありません。しかし売れ残ってしまう要因を把握・解消し、購入につながるメリットをアピールできれば有利に売却を進められるでしょう。
タワーマンションは他のマンションに比べて大手デベロッパーが販売元のケースが多いため、信頼性を強調して購入希望者を募ってみましょう。販売元の信頼性は、アフターサービスの信頼性や、品質管理の信頼性につながってきます。
マンションの販売実績が豊富な複数の不動産仲介会社に依頼し、広いアンテナで購入希望者を募る方法もあります。タワーマンション所有者ならではの悩みや相談に対応してもらいやすく、不動産売買の専門知識がない方でも安心できます。
広い視野で購入希望者を募り、売却タイミングを逃さないようにするなら「専任契約」「専属専任契約」ではなく、「一般媒介契約」にしてみるのも一つの方法です。売りたいタワーマンションの条件により適切な媒介契約のタイプは異なるため、信頼のおける専門家へ相談してみましょう。
中古タワーマンションが売れないと囁かれる実態についてまとめてまいりました。
タワーマンションは景気の影響や大規模修繕の負担から売りにくいとされがちですが、実際には適切な維持管理ができれば需要がなくなってしまうことはありません。
物件としての価値を考える際は立地による格差が生じるものの、そのタワーマンションの魅力を買主様に正確に伝えることができれば、有利に売却を進められる可能性があります。
タワーマンションの売却をスムーズに進めるには、第一歩として、複数の不動産仲介会社に相談することができるすまいValueを検討してみてはいかがでしょうか。
土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
中村昌弘
宅地建物取引士
マンションディベロッパーにて、新築マンションの販売・仲介や用地取得の業務を経て独立。自身でも不動産売買経験があり、不動産投資にも精通している。現在は、不動産関係の記事も多数執筆しており、フリーライターとしても活動中。
最後までお読みいただき、
ありがとうございます。
ご回答ありがとうございました。