個人売買で家を売る大きなメリットは、「仲介手数料を支払わなくてよい」ということです。
手数料は不動産仲介会社が自由に設定できますが、上限額が法律で「成約価格×3%+6万円※」と決まっています。もし家を3,000万円で売ったら、手数料の上限は96万円(=3,000万円×3%+6万円)になり、さらに消費税もかかります。
※200万円~400万円以下は「成約価格×4%+2万円」、200万円以下は「成約価格×5%」
しかし、それでも家を売る多くの人が不動産仲介会社を依頼するのは、個人売買には大きなデメリットもあるためです。
個人売買の場合、たとえば購入希望者が現れたとき、次のような確認も自分でおこなう必要があります。
相手が面識のない人であっても、親族や友人であっても、「お金は十分ありますか」「約束の期日までに支払ってくれますか」と尋ねることはためらわれることですが、こうした確認はトラブルを回避するためには避けて通れません。そして、それでもトラブルが起きてしまったときは、自分で解決しなければならないのです。
そのため、親族間や隣地所有者に売却する場合ですら、個人間取引のリスクを嫌がり、安心・安全に取引を完結するために不動産仲介会社に間に入ってもらうケースが多いです。
中古住宅を売り続けているプロでも、これだけの販売活動をしてようやく家を売ることができるのです。
不動産販売の「素人」である売主様は、少なくともこれと同じ程度の販売活動を展開しなければ自分の家を売ることはできないでしょう。
個人が自分の家を売るには最低限、税金、契約書、登記、契約不適合責任、代金の回収の知識が必要です。これらの知識がなく、各手続きを怠るとさまざまな問題が生じる可能性があります。
たとえば家を売って売却益を手にしているのに税金の手続きをしなければ、脱税になってしまいます。
正しく売買契約を締結しないと、最悪、家を手放したのに代金を手に入れることができなくなります。
登記は個人で売買を行う場合でも司法書士に依頼することが一般的です。
家を売った売主様には、契約不適合責任という法律上の責任を負うことになります。家を売ってすぐに雨漏りやシロアリ被害などの欠陥が見つかった場合、売主様は補修をしたり損害賠償を負ったりしなければなりません。買主様は損害賠償請求だけでなく、その欠陥部分の代金を減額請求することもできますし、完全な状態に直すよう請求することもできます。引き渡した物件が契約の内容に適合していない場合は、後にそのような請求が発生することを覚えておきましょう。
民法上は、買主様が契約不適合を知ってから1年以内に売主様に申し出れば、売主様は契約不適合責任を負わなければならないことになっています。「買主様が契約不適合を知ってから」なので、例えば10年以上経っても買主様は売主様に契約不適合責任を求めることができることになります。
しかし、それでは売主様の負担が大きいので、売買契約のときに、契約不適合責任を負う期間を限定するなどの特約や、契約不適合責任を負わない免責特約をつけることも可能です。買主様と納得いくまで話し合う必要があるでしょう。
そして、家の売却において購入者をみつけることと同じくらい重要なのが、代金の回収です。たとえば、家の権利を買主様に譲渡し終えた後に、買主様が代金の減額を要求してきたらどうしたらいいでしょうか。不動産仲介会社がいないということは、売主様自身でこのようなケースにも自分で対応をしなければならないのです。
家の売却は個人間でも行えますが、その分様々なリスクが存在します。
契約書類の作成、明け渡しの作業、請求作業、中には専門的な知識が必要になる作業もあり、一概に「誰でもできる」とは言えません。
そのため、信頼できる不動産仲介会社に間に入ってもらうことをおすすめします。
土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
髙野 友樹
公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。
小林弘司
不動産コンサルタント/不動産投資アドバイザー
東京生まれ、東京育ち。海外取引メインの商社マン、外資系マーケティング、ライセンス会社などを経て、現在は東京都内にビル、マンション、アパート、コインパーキングなど複数保有する不動産ビジネスのオーナー経営者(創業者)です。ネイティヴによる英語スクールの共同経営者、地元の区の「ビジネス相談員」、企業顧問なども行っています。
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