不動産の築年数を表す「新築」は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(住宅品確法)によって、建築完了後からの年月や条件が以下のように定義されています。
「住宅品確法」(第2条の2)
“「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)”
引用元:住宅の品質確保の促進等に関する法律第二条の2
ここでいう住宅とは、人の居住用に建てられた戸建てや分譲マンション(区分所有建物)を指すため、使用用途が異なる不動産(事業所など)を「新築住宅」と呼ぶことはできません。
不動産売却において、「新築」はアピールポイントのひとつとなります。
築年数を誤ると購入希望者の目に留まりにくくなり、売却タイミングを逃がしてしまうリスクもあるため注意しましょう。
ちなみに、新築工事が完了してから1年以上経過した不動産や、1年以内でも入居歴がある不動産は「築浅」と呼ばれます。
「築浅」に明確な定義はありませんが築年数は3年~5年以内を指すケースが多く、「新築」に比べると不動産としての価値は下がってしまいます。
売りたい不動産が「新築」の条件に当てはまる場合は、築年数が経過してしまう前に売りに出せるよう準備を進めましょう。
<新築の条件>
多くの方は住宅購入の際に住宅ローンを組み、数十年という単位で返済計画を立てているでしょう。
やむを得ない理由などから建築後間もない住宅を売却する場合、売却で得た費用などを住宅ローンの返済に充て、住宅ローンの残債を完済する必要があります。
これは売りたい住宅にかけられている金融機関の抵当権を抹消するためです。
もしも、成約価格が住宅ローンの残債を下回った場合は、別途資金を調達し返済に充て、売却と同時に住宅ローンの残債を完済しなければいけません。
新築の家を売却する場合は住宅ローン残高が高額なケースがほとんどのため、残債をどのように完済するか、無理のない資金計画を立てることが大切です。
資金計画では成約価格から差し引きされる諸費用も忘れずに計算し、後にトラブルが起きないよう注意しましょう。
新築を売る際はいくつかの諸費用が発生します。
住宅ローンの完済を視野に入れる場合、諸費用を勘案して売却の価格設定をおこないましょう。
住宅売却の際にかかる主な費用は、以下のとおりです。
支払う相手……媒介契約を締結した不動産仲介会社
【売買仲介手数料の法定上限料率】
支払う相手…住宅ローンを借り入れしている金融機関
金額…1万円~3万円
購入場所…郵便局、市区町村役場 など
金額…1,000円~60,000円(成約価格により異なる)
支払う相手…登記手続きを依頼する司法書士
金額…5,000円~30,000円
支払い場所…管轄の税務署
支払い時期…確定申告期間(売却した翌年の3月15日まで)
金額…譲渡所得の39.63%
新築を売却する際は、一件でも多くの内覧希望・購入希望が出るように、買主様(購入検討者様)から好印象を持たれるテクニックを押さえておきましょう。
土日祝日も内覧会を実施し、必要があれば内覧希望者様の都合に合わせて内覧会を行いましょう。
太陽が高く昇る時間帯に内覧会を実施すると室内が明るく見えます。
実際の生活をイメージしやすいホームステージング(家具やインテリアを設置して演出する方法)は、室内を明るく演出し、購入意欲を高められるテクニックのひとつです。
新築のため片付けの必要性は低いですが、汚れや埃があればクリーニングしましょう。
人が入居していなくても、玄関や窓(外側)、換気扇など外気に触れやすい部分は汚れが溜まっている可能性があります。
成約に至った場合の特典の有無は、買主様(購入検討者様)の決断にプラスに働く場合があります。ただし、買主様が好まないものデザインや需要が低い品物は特典と言い難いため注意しましょう。
詳しくは以下の記事をご参考ください。
新築に近ければ近いほど、「なぜ売るの?」という疑問を持つ買主様(購入検討者様)が増えます。
売主様は、買主様から説明を求められた際に売却理由を説明できるように準備しておく必要があります。
売却する理由については、国内外への転勤など想定可能かつ合理的なストーリーで伝えるよう心がけましょう。
もしも心理的瑕疵に関連する売却理由(事故、事件等)がある場合、後のトラブルを防ぐためにも不動産仲介会社と話し合って丁寧に対応することが重要です。
また、心理的瑕疵に付随して過去の近隣トラブルに関しても「買主様に伝えるべきかどうか迷っている」という場合は、最善の選択ができるように不動産仲介会社へ相談してみることがおすすめです。
新築の家を売る際のポイントについてまとめてまいりました。
新築(または築浅)住宅の売却が損になるか得になるかは、物件の内容、立地条件、経済状況、不動産市況によって変わるため、一概には言えません。都心部のマンションなどで立地条件の良い物件ならば、得になるケースもあります。
また、売却に向けた正しい対策をする・しないによっても成約価格に大きな開きが出てしまうでしょう。信頼できる不動産仲介会社の協力を得ながら、損のない売却を成功させましょう。
土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、国内不動産ファンドでAM事業部のマネージャーとして従事。現在は、Resorz Consultingを立ち上げ、事業法人や投資家への不動産コンサルティングを行う傍ら、社団法人GINAとして海外事業にも参画している。
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