建物は年数を重ねていくと、経年劣化により傷んでいきます。これは、タワーマンションにおいても例外ではありません。タワーマンションにおける魅力の一つとして資産価値が高いことが挙げられますが、資産価値を守るためには長期的な修繕計画が非常に重要です。ここでは、修繕計画の一部である修繕積立金について解説します。
一般社団法人不動産協会のWebサイトでは、長期修繕計画の作成指針として「適正な修繕積立金のあり方」について公表しています。その中で、修繕積立金の種類が紹介されていますので1つずつご紹介します。
1.均等積立方式
20年以上の長期修繕計画に基づいて修繕費用の総額を見積もり、大規模修繕工事を行う前までの月数で割ることにより計算されるのが「均等積立方式」です。
つまり、均等積立方式では、計画期間中は修繕積立金の負担が定額であることが特徴です。
均等積立方式では毎月安定して修繕積立金を徴収できるというメリットがある一方で、そのときの修繕の需要に関係なく一定額を徴収するので多額の資金管理が必要となるという側面があります。
2.段階増額積立方式
均等積立方式と同じく、長期修繕計画による修繕費用の総額から計算されます。段階増額積立方式では、最終的に長期修繕計画で計算された総額となるように、5年程度の一定期間ごとに段階的な増額が行われます。つまり、新築当初は修繕積立金が安く、年数を重ねていくにつれ増額されていくという方式です。
修繕の需要が少ない当初は金額が少ないので資金の管理がしやすい一方で、計画通りだとしても段階的な修繕積立金の増額が所有者の合意を得られず、結果的に修繕積立金が不足してしまう可能性が考えられます。
3.一時金積立方式
大規模修繕が必要となったとき、毎月支払っている修繕積立金だけでは賄えない金額を一時金として徴収する方式です。毎月の修繕積立金は上記2つの方式よりも安いかもしれませんが、不確定要素が多いといえるでしょう。
タワーマンションの大規模修繕に関する事例が少なく、一般的には「長期的な修繕計画が立てにくい」という現状があります。そのため、修繕計画の見直しによって、当初よりも多額の資金が必要であると気づくケースがあるのです。
修繕積立金の値上げを嫌がり修繕自体をおろそかにすると、将来の資産価値に大きく影響が出てしまうでしょう。
タワーマンションには、一般的なマンションにはない共用設備が数多くあることや、建物の高さがあるという性質上、修繕費用が高くなってしまいます。
例えば外壁工事だけを見ても、タワーマンションは高さがあるので高層部分では足場が組めません。ゴンドラやリフトクライマーを利用するなど、工夫した工事が求められるのです。また、タワーマンションは規模が大きく設備も充実していますから、ポンプや排水管工事にも多額の費用がかかります。
15年程度の周期で大規模修繕をするという計画が立てられることが多く、修繕費用として十数億がかかったタワーマンションが実際に存在します。このように、タワーマンションは一般的なマンションと比較すると高額な修繕費用が必要となるため、修繕費が高くなる傾向にあるのです。
タワーマンションの歴史はまだ20年程度です。実際に大規模修繕を行ったタワーマンションは数少ないため、修繕のノウハウなどが確立されておらず、長期修繕計画の見通しが立てにくいという現状があります。
先ほども解説した通り、タワーマンションでは「高層部分は足場が組めない」「一般的なマンションよりも設備が多い」などの特徴から、修繕費用が高額になってしまうのです。
また、建築・土木業界では人手不足や資材不足が続いていますので、タワーマンションに限らず人件費・材料費という面からも将来的に修繕費用が高くなってしまう可能性があります。
修繕積立金を負担に感じるようであれば、大規模修繕を迎える前に売却を検討するというのも選択肢の1つとなるかもしれません。
タワーマンション自体がまだ歴史が浅い物件になるため、修繕のノウハウがたまっておらず、結果的に想定している以上の修繕費がかかる可能性もあります。
もし修繕積立金が想像以上の負担になっている場合、もしくは将来的に売却を検討している場合は一度すまいValueへ相談してみてはいかがでしょうか。
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花 惠理
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
地方国立大学を卒業後、不動産会社や住宅メーカーの不動産部に勤務。不動産賃貸・売買契約の他、社宅代行、宅地造成など、不動産の業務に携わっていました。また、将来に備えて夫婦で不動産投資や株式投資等を行っています。現在は、不動産や金融関係の執筆をするWebライターとして大手メディアなどに多数寄稿。初心者にもわかりやすい言葉で解説しています。
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