所有物件で火事がおきた場合は、それが過去であっても告知が必須となります。そもそも、物件の火災は心理的瑕疵に該当するので事故物件扱いになります。そのため、売主様および不動産仲介会社は購入希望者に対して火災の事実を告知する義務があるのです。
<心理的瑕疵の例>
・物件内で「自殺・殺人」などがあった
・物件内で「事件や事故による死亡」などがあった
・物件内で「火災」等があった
・物件の近隣で「事件・事故・火災」等があった
・物件の近隣で「嫌悪施設」がある。(葬儀場・火葬場など)
・物件の近隣に「指定暴力団等の事務所」がある
告知義務の期間については明確な定めがなく、最終的には裁判所の判断にゆだねることになります。その際は火災の規模や死亡者の有無なども関係してきますので、事前に必ず不動産仲介会社に確認を取るようにしましょう。
火事のあった物件は心理的瑕疵に該当する可能性が高いため、売却時の価値は下がりがちです。しかし、物件の価値はその物件の築年数や、最寄り駅からの距離、地域住民とのコミュニティの形成、スーパーやコンビニなど生活に必要な店舗の有無など、さまざまな要因により決まるため、火事が起きたからといって一概に「資産価値が極端に下がる」とはいえません。
また、仮に火事がおきたとしても、適切な改修工事を行ったことを提示することで、買主様の納得が得られる可能性もあります。
火事があった物件は物理的瑕疵、および隠れた瑕疵が生じやすくなるため注意が必要です。不動産を売却する際に、売主様には「瑕疵担保責任」というものが存在し、万が一売却後に瑕疵が見つかった場合は、売主様が修繕等を行うことになります。
火事が起きた後の物件では、特に「隠れた瑕疵」が発生しやすいので気を付けましょう。
隠れた瑕疵とは、買主様が通常の注意を払っても見つけることができなかった瑕疵のことです。
火事が発生して適切な改修工事を行ったとしても、火事が発生したことは事実であることから「隠れた瑕疵」に該当し、売主様は買主様に告知する義務を負うのです。
瑕疵担保責任とは、万が一売却後に瑕疵(=欠陥や不具合)が見つかった場合に売主側が責任を負うという義務のことです。
これには「物理的瑕疵」「心理的瑕疵」「法律的瑕疵」「環境的瑕疵」が含まれ、民法では「引渡しから10年以内で買主様が瑕疵を発見してから1年以内」の期間が設けられていますが、エンドユーザー同士の不動産取引においては売主様・買主様合意のもと、瑕疵担保期間を引渡しから3ヶ月間にすることが一般的です。
このうち物理的瑕疵とは、雨漏れや外壁のひび割れなど建物自体に損失がある場合や、地盤沈下や土壌汚染など土地に問題がある場合を指します。
火事の発生によりこのような物理的瑕疵が発生している場合には、売主様は買主様にその事実を告知する義務を負います。
ただし、瑕疵担保責任の範囲に関しては明確な定めがないため、瑕疵担保責任の期間等を決める際に「どこまでの責任を負うのか」ということも売買契約書に明記しておくようにしましょう。
売買契約が完了した後に火事がおきた場合も、引渡し前であれば責任は売主様側となります。売買契約を締結した時点で売主様には「物件の引渡し義務」が発生し、これに伴い引渡しまで物件を保全する義務も発生するのです。
引渡し前に売主様の過失や責任でない火事で物件が消失(滅失)した場合は、解除が可能となり、売主様が受領済の手付金を買主様に返還する契約を締結することが一般的です。
また、同様の火災により建物が毀損した場合は、売主様は自己の負担において物件を修復して買主様に引渡すこととなります。この場合、売主様は火災保険で損失を補てんすることができますので、引渡しまで火災保険を解約しないようにしましょう。
ちなみに、引渡しの翌日に物件が消失した場合は買主様側に責任が移行するので、買主様のローンだけが残ることになります。
所有する物件で火事がおきた場合、基本的には物件価値が下がりますが、正しく改修工事を行ったことを提示できれば買主様の納得を得られる可能性があります。また、火災があった物件というのは「隠れた瑕疵」が発生しやすいので、不安がある場合は不動産売却のプロである「すまいValue」に一度相談してはいかがでしょうか。
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宇羽野 和人
主にデベロッパーや不動産投資ファンドなどのプロ事業者向けに不動産デューデリジェンス(不動産調査)や事業投資分析業務・クロージング業務の代行などのサービスを展開。 そのほか、個人投資家向けに不動産投資支援サービス(購入支援・投資分析・リーシングなど)を手掛ける。
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