不動産鑑定とは、不動産鑑定評価基準に基づいて不動産の公正価値を評価するものです。
市場で形成される価格を的確に把握できるため、高い信頼性や精度が期待できます。
不動産鑑定は、高度な専門知識を有する国家資格を取得した不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づいて地域の環境や諸条件を考慮して「不動産の最有効使用」を判定し、その結果から客観的に「適正な地価」たる価値を決定します。不動産鑑定士は、不動産の価格についてだけでなく、不動産の適正な利用についての専門家とも言えます。
不動産は、売主様と買主様が合意すれば、どんな金額でも売買は可能です。
ただし、その価格が世間一般から見て妥当と判断される価格であるかどうか、すなわち「公正価値」だとは限りません。公正価値での売買ではない場合、買い手と売り手のどちらかが得をしていることになりますが、不動産仲介会社によっては、公正価値よりも高額で不動産を購入したいと希望する人を見つけてくれる場合もあります。
不動産鑑定において、公正価値を把握したいというケースには以下のようなものが考えられます。
また、実際に売買が期待されるケースにおいては例えば以下が考えられます。
不動産鑑定は、公正価値を把握できるのみならず、以下のようなメリットもあります。
ただし、不動産鑑定士がその不動産に関する節税対策や、市街地農地・市街地山林などの相続税申告での局面でその不動産が該当するかといった点も含め、税に関する具体的な意見表明をしたり相談に応じたりすることは、別途税理士として登録していない限り税理士法で違法となるので注意が必要です。
有償で不動産の公正価値を決定する行為は、不動産鑑定士の独占業務と法律で定められています。不動産鑑定士以外は業として不動産の公正価値を決定することはできません。
そして、不動産鑑定士の報酬は、民間の案件の場合、想定される鑑定評価額が高額なほど責任も大きくなりますので1億円程度で1件あたり30~50万円強前後、5億円程度であれば60~100万円強前後が相場でしょう。
なお、その不動産の個別性や手間、同じクライアントからの複数案件などの条件によって、不動産鑑定士の報酬は上下します。例えば、借地権の価値を求める場合は更地よりも手間が増えるので報酬も上がり、同じクライアントから条件が似通った不動産の鑑定評価を複数依頼された場合は割引をするなどです。
不動産鑑定評価基準では、価格を求める基本的な3つの手法として以下を提示しています。
実務上では、例えば既成市街地の更地の鑑定評価の場合は「土地を造る」という概念がないので原価法は適用できない、戸建住宅や賃貸ビルの場合は比較検討ができるほど建物が類似する不動産の取引が見られないため取引事例比較法が適用できないなど、3手法全てを適用することはまれで、不動産の内容に応じ1~2つを適用する流れとなっています。
また、立退料や家賃といった、より難易度の高い鑑定評価の場合は、上記の3つを応用した手法を適用します。
不動産仲介会社によっては、公正価値よりも高額で不動産を購入したいと希望する人を見つけてくれる場合もあります。例えば「公正価値に縛られず、どうしてもその地域の不動産、その物件が欲しい人」を知っていれば、その前提で査定を行い成約に繋げるという場合も考えられます。従って不動産を売りたい時は、無料査定を通じて不動産仲介会社が、どの程度高額の買い手を見つけてきてくれそうかとの売却可能見込額を把握する意味では無料査定は有用であるといえます。
不動産鑑定は不動産の相続や贈与、売買等を行う際に必要となるもので、不動産鑑定士が行います。費用は評価額と類型等によって左右されますが、一般的な住宅で数十万円が相場です。不動産鑑定は正確な公正価値を知ることができますが報酬も高額ですので、簡単に概算での売却可能見込額が知りたい場合には、不動産仲介会社による無料で行える不動産査定がおすすめです。
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冨田 建
不動産鑑定士・公認会計士・税理士
43都道府県で不動産鑑定業務の経験の傍ら、雑誌・税理士会会報、ヤフーニュースの記事等に多数執筆。著書執筆で平成27年東京都不動産鑑定士協会により表彰。令和2年1月現在地価公示鑑定評価員。平成26年以降、公認会計士協会東京会や東京税理士会税務会計学会等にて公認会計士や税理士向けに不動産知識の講演等をも行っている。
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