マンションに限らず、建物や家屋にはいつかは寿命がやってくるものですが、マンションの寿命について、明確な定めがあるわけではありません。
ただし、近年は耐震設備等への不安などから、建て替え基準の半分となる築30年程でマンションを建て替えるケースも増加してきています。特に耐震補強に関する意識が薄かった時代に建設されたマンションでは、災害によるダメージを最小限に抑えるため、早い段階で建て替えが検討されます。
現在住んでいるマンションが建て替えとなる確率は、概ね以下のように予想されます。
国土交通省が発表しているデータによると、平成30年末時点における日本のマンションストック総数は約654万戸となっています。そのうち、平成31年4月時点で建て替え済み、または建て替え工事中・工事準備中の物件は278件です。
1つのマンションに住む世帯数を60世帯とした場合、建て替え済み・建て替え工事中または準備中のマンションは全体の0.26%程度となります。この数字を見るとマンションの建て替えは進んでおらず、今住んでいるマンションが建て替えになる可能性は現時点では低いといえます。
マンションの建て替えが進まない大きな理由の1つに、マンション所有者の同意が得にくい点が挙げられます。建て替えには区分所有者の4/5以上の賛成が必要ですが、建て替えによる費用は多くの場合区分所有者の負担になるからです。
もし住んでいるマンションが建て替えになった場合、必ずしも費用負担が発生するとは限らず、中には費用負担がないケースもあります。それぞれのケースと、費用負担ありの場合の相場について見てみましょう。
マンション自体の容積率が大きく、建て替えで新たにできた部屋を売却して建て替え費用が賄える場合、住民の費用負担は発生しないケースになる可能性があります。
容積率が小さく、建て替えで戸数を増やせないか、戸数は増やせても買い手が見つからないマンションの場合、建て替え費用は住民の負担となる可能性があります。国内にあるマンションの多くは、この費用負担ありのパターンです。
マンションの建て替えにかかる1戸あたりの費用は、物件の資産価値により異なりますが、一般的にはおよそ1,000万円程度といわれています。
その他にも、建て替え時と完成時の合計2回の引越し費用にくわえ、仮住まいの家賃などもかかります。すべてをカバーするためには、最低でも総額1,400万円ともいわれることもあります。
上記金額はあくまでも一般的な相場であり、条件によっては金額が大きくことなるケースもあります。
毎月積み立てている修繕積立金を建て替え費用に充てたいところですが、国土交通省のマンション標準管理規約では、建て替えの時に修繕積立金を取り崩すことは、趣旨と異なるため原則禁止とされています。ただし、建て替えすべきかどうかの事前調査については例外としています。(標準管理規約28条1項4号)
マンションの建て替えが決まった場合、どのような選択肢が考えられるでしょうか。
マンションの建て替えが決定したら、基本的には建て替えに賛同して費用を負担するか、マンションを売却して新居の費用にあてるという選択肢もあります。
マンション売却という選択肢を選ぶ際には、売価の相場を正しく把握することと、実績ある不動産仲介会社と媒介契約を結ぶことの2点がもっとも重要です。まずは不動産一括査定サービスを受け、大手不動産仲介会社の査定価格を見てみることをおすすめします。
今住んでいるマンションが建て替えになる可能性は高くはありませんが、万一建て替えとなった場合には、かなりの高額の費用負担の可能性が高まります。そうなった場合には、思い切ってマンションを売却するのも選択肢のひとつです。
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土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
髙野 友樹
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、国内不動産ファンドでAM事業部のマネージャーとして従事。
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