不動産登記簿謄本は普段なかなか目にするものではないため、いざ取り寄せようとした際に戸惑ってしまう人は少なくありません。また、登記簿謄本を取り寄せた後も見方がわからず、内容を理解するのに苦労する人も多いことでしょう。
そこでここでは、不動産登記簿謄本の見方や各項目の意味、取得方法、取得時に必要な書類について解説していきます。
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まずは、不動産登記簿謄本がどんなものなのか、取得に必要な書類、方法について見ていきましょう。
日本には、土地や建物に関する権利関係などを社会に公示する、「不動産登記」という行政上の制度があります。不動産登記の目的は、土地や所有者、担保権者などの情報を細かく記録し、これを世間一般に公開することで、安全かつ円滑に不動産取引を行うことです。そして、不動産登記の記録は「不動産登記簿」という台帳にまとめられます。
不動産登記簿謄本とは、この不動産登記簿を元にした法務局の捺印がある証明書のことをいいます。
現在は「登記事項証明書」が正式名称となっていますが、恒例的に登記簿謄本と呼ぶ人も多いです。
不動産登記簿謄本は、以下4つの方法で取得することができます。
【閲覧のみ】インターネット(登記情報提供サービス) 手数料334円
※登記情報を閲覧のみ行える。登記情報をプリントアウトできるが法務局の押印はないので、法的な証明力はない。
取得の際に必要となる書類は特にありません。インターネットの場合は、法務局の捺印はありませんが権利関係だけを知りたい場合には便利です。オンラインでの登記簿謄本の請求はインターネットバンキングが、インターネットでの登記簿謄本請求にはクレジットカードが必要です。また、不動産登記簿謄本を取得するのは不動産を売却するタイミングであることが一般的で、不動産(土地・家屋)の所在地番や家屋番号、会社・法人の場合は商号(法人名)、本店の記載が必要です。
不動産登記簿謄本は、「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」の4部構成になっているのが一般的です。
不動産登記簿謄本は、上から「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」の順に並んでおり、不動産によっては表題部のみ、もしくは表題部と権利部(甲区)しかないケースもあります。
不動産登記簿謄本の内容を正確に把握するためには、4つの構成それぞれの役割や意味を理解しておくことが必要です。
表題部は、不動産を特定するための住所や面積、構造など、その不動産のスペックが記載されている部分です。土地と建物では記載項目が異なり、遺言書や遺産分割協議書に記載したり登記申請をしたりする際は、表題部の内容を一字一句間違えずに記載する必要があります。
ただし、表題部の内容が100%正しいとは限りません。なぜなら、表題部の内容は不動産所有者が自ら登記をしない限り変更されないからです。基本的には「内容に変更があった場合は1ヶ月以内に登記しなければならない」と決まっていますが、守られていないケースも多々あります。
不動産登記簿謄本の権利部(甲区)は、所有権に関する内容が記載されています。そのため、権利部(甲区)を見ればその不動産の現在の所有者はもちろん、過去の所有者も一目瞭然です。
不動産登記簿謄本の権利部(乙区)は、所有権以外の権利に関する内容が記載されています。そのため、権利部(乙区)を見ればその不動産に対する抵当権や賃借権、地上権など、誰がどんな権利を持っているのかがわかります。なお、差押えの登記は甲区に入ります。差押えの登記は借りたお金を返していない、税金を滞納している場合につけられる登記です。
共同担保目録の欄は、抵当権を設定した際、担保となる不動産が複数あった場合に、それらをまとめて記載します。そのため、権利部(乙区)の抵当権と併せて確認することが必要です。
たとえば、住宅ローンを組んで一戸建てを購入するとしましょう。その際、土地と建物の両方を担保に提供すればそれぞれに抵当権が設定され、共同担保目録にも土地・建物の両方が記載されます。
ここでは、不動産登記簿謄本の表題部についてさらに詳しく見ていきましょう。
土地を保有している場合、表題部には以下の項目が記載されます。
土地の住所が市町村の〇丁目まで記載されます。
地番とは、不動産登録をする際に土地に付与された番号のことです。所在と合わせることで正確な所在地になります。住民票の住所とは異なる場合がありますので注意して下さい。地番がわからない場合は管轄の法務局で教えてくれます。
地目とは、土地の種類や用途を意味します。見本では「宅地」と記載されていますが、そのほかにも田や畑、山林、雑種地などがあります。
土地の面積が記載されます。
表題部に登録された日付と理由が記載されています。特に明確な理由がない場合は、見本のように「不詳」と記載されるのが一般的です。
建物を保有している場合、表題部には以下の項目が記載されます。
建物の住所は番地まで記載されます。
家屋番号とは、不動産登録をする際に建物に付与された番号のことです。
居宅や事務所、店舗、倉庫、共同住宅など、建物の種類が記載されます。
「構成材料 + 屋根の種類 + 階層」の順で建物の構造が記載されます。
見本は「構成材料:木造」「屋根の種類:かわらぶき屋根」「階層:2階建」ということになります。
各階層の床面積が記載されます。
表題部に登録された日付と理由が記載されています。
ここでは、不動産登記簿謄本の権利部(甲部)についてさらに詳しく見ていきましょう。
権利部(甲部)には以下の項目が記載されます。
所有権保存の登記順位が記載されます。
所有権を登記した目的が記載されます。見本では、最初に甲野太郎さんが不動産を所有し、後に法務五郎さんへ移転(売買契約)したことがわかります。
登記をした年月日が記載されます。権利証にはこの番号が押印又は記載されています。
所有者の住所や氏名、登記された理由となる原因などが記載されています。見本では、最後に記載されているのが法務五郎さんの情報になるため、現在の所有者は法務五郎さんだと判断できます。
ここでは、不動産登記簿謄本の権利部(乙区)についてさらに詳しく見ていきましょう。
権利部(乙区)には以下の項目が記載されます。
登記された順位が記載されます。
登記された所有権以外の権利が記載されます。見本では抵当権が設定されているのがわかります。
登録した日付と番号が記載されます。
権利者の氏名や、所有権以外の権利に関することが記載されます。見本ではいろいろな情報が記載されていますが、主な内容は以下のとおりです。
<原因>
登記された理由となり、見本ではお金の貸し借りが理由で抵当権を設定しています。
<債権額>
貸した(借りた)お金の金額が記載されます。
<利息>
貸し借りの際に決めた利息が記載されます。
<損害金>
登記の際に決めた損害金が記載されます。損害金とは、万が一債務者の支払いが滞った場合に発生する損害に対する利息のことです。
<債務者>
お金を借りた人の住所と氏名が記載されます。
<抵当権者>
お金を貸した人の住所と氏名が記載されます。
<共同担保>
共同担保目録の番号が記載されます。
ここでは、不動産登記簿謄本の共同担保目録についてさらに詳しく見ていきましょう。
共同担保目録には以下の項目が記載されます。
共同担保目録の記号(番号)が記載されます。なお、この記号(番号)は権利部(乙区)に記載されるものと合致します。
不動産の通し番号です。
抵当権が設定されている不動産の住所や地番、家屋番号が記載されます。見本では、「特別区南都町一丁目101番の土地」と「特別区南都町一丁目101番地 家屋番号101番の建物」の両方に抵当権が設定されています。
抵当権の順位が記載されており、この順位は権利部(乙区)に記載されるものと合致します。
不動産登記簿謄本の解読は一見難しそうにも思えますが、順番に見ていけばそこまで難しいものではありません。基本的に、不動産登記簿謄本は4部構成になっており、それぞれ意味や役割が異なります。中には2部、もしくは1部しか存在しない不動産登記簿謄本もありますが、4部それぞれの役割が理解できていれば正確に読み取ることができるでしょう。
また、登記簿謄本について不明点などがあれば、不動産仲介会社の担当者に質問できるので、まずは信頼のおける担当者と巡り合うことが大切です。登記した不動産の売却を検討している場合は一括査定サイトを利用し、自分に最適な不動産仲介会社・担当者を見つけてみましょう。
土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
松本尚
司法書士
京都府木津川市にある木津川司法書士事務所の代表。司法書士、行政書士、宅地建物取引士の資格を持ち、相続や遺言等の手続を含めた不動産登記、会社設立等の商業登記を中心に業務を行っている。
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