家の買い替えを検討するならば、まずは買い替え手続きを失敗なく進められる方法を考える必要があります。
家を買い替える際によくある失敗には、以下のようなケースがあります。
家の買い替えをスムーズに進めるには、買い替え手続き全体の流れに合わせて、時間や費用面で無理のない計画を立てることが大切です。
自身の希望に沿った計画を立てるためにも、家の買い替えで重要となる以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
家の買い替えでは、現在の家の売却や新しい家の購入に多くの手間と時間がかかります。
手続きを滞りなく進めるためには、各手続きの流れを把握しておくことが大切です。
実際の行動に移す前に、どのようなスケジュールで進行していくか考えることも欠かせません。
家の買い替えには多くの費用や税金がかかります。
現在の家の売却代金以上に資金を用意しなければならない可能性もあるので、買い替え全体でかかる費用は事前に確認しておきましょう。
売却にかかる費用、購入にかかる費用には、それぞれ以下のようなものがあります。
〈現在の家の売却にかかる費用一覧〉
〈新しい家の購入にかかる費用一覧〉
仕事や学校、生活環境の変化など、家を買い替える目的はさまざまですが、目的に沿った希望を決めておくと後の計画がぶれにくくなります。
具体的には、以下のような条件を明確にすることがおすすめです。
家を買い替える目的:
転勤、子どもの進学、世帯人数の増減、今より住みよい家へ引越ししたい、今より住みよいエリアへ引越ししたい、リフォームは検討せず引越ししたい など
現在の家の希望成約価格:
「いくらくらいで売りたい」という希望があれば、理由と一緒に考えておきます。現在の住宅ローンの返済に充てたい、新しい家の購入資金にしたい、生活費用の足しにしたい、購入したときにかかったお金を少しでも回収したいなど、さまざまな理由があるでしょう。
現在住んでいる家の売却手続きを進める際は、単純に「できるだけ高い価格で売りたい」と漠然としたイメージを持つよりも、「このような理由からいくらで売りたい」と決めておくほうが、パートナーとなる不動産仲介会社とも意思疎通を図りやすくなります。
新しい家の希望条件:
新しい家に求める条件はできるかぎり多く決めておきましょう。エリアや価格、間取りや周辺環境などの基本的な条件はもちろん、建物の設備や機能性、耐震性などについても大まかな希望条件を決めておくと、新居探しの際の比較・検討に役立てられます。譲れない条件や妥協できるポイントについても、家族と繰り返し話し合っておきましょう。
家の売却や購入には長い時間がかかり、多額の金銭が動きます。
ときには専門的な視点からみたアドバイスやサポートが必要となるケースもあるため、不動産仲介会社を選ぶ際は複数社から信頼のおける1社を選ぶことがおすすめです。
また、家の売却と購入を同じ不動産仲介会社へ依頼すると、現在の家の引渡しや新しい家への引越しのタイミングを調整してもらいやすいというメリットがあります。
家の買い替え前(準備期間)から買い替え後まで長期的なサポートがある不動産仲介会社を選べると、大きな負担なく家の買い替えを進めていけるでしょう。
家を買い替える際の流れや全体でかかる費用、そもそもの目的や希望条件を明確にできると、家の買い替えを進めるうえでやるべきことやスケジュールが見えやすくなり、各手続きをスムーズに進められます。不動産仲介会社は家の買い替えをリードしてくれるパートナーともいえるため、実績豊富で信頼のおける1社を見つけることが必要です。
家の買い替えを進めるにあたり、「売り先行」と「買い先行」について知っておくことは買い替え手続きをスムーズに進めるためにも欠かせません。
売り先行と買い先行の特徴を知り、自身に合った買い替えの流れを考えてみましょう。
売り先行とは、現在住んでいる家の売却を優先して進め、その後に新しい家の購入を進める買い替え手順のことです。
売却を先に進めることから、売却先行型とも呼ばれます。
家の買い替えにおいて、比較的多く選ばれる手順は売り先行です。
現在、住宅ローンの残債がある場合、売却で得たお金を住宅ローンの返済に充て、残債をなくしてから新しい家を購入する流れが基本となります。
買い先行とは、新しい家の購入を優先して進め、現在住んでいる家の売却を後からおこなう買い替え手順のことです。
購入を先に進めることから、購入先行型とも呼ばれます。
新しく住む家が先に決まっていることで、売却のタイミングや引越しまでの仮住まい問題に悩まずに済みます。
「いつまでに引越ししなければならない」など、家を買い替える期間に時間的な条件がなければ、早い段階から買い先行による買い替え計画を進め、新しい家を探すことに多くの時間を割けるでしょう。
売り先行と買い先行はそれぞれにメリット・デメリットがあり、家の買い替えにおいて、一概にどちらがいいとはいえません。
家の売却や購入で求める条件はさまざまなので、自身の希望や条件に合わせやすい買い替え手順を選びましょう。
各手順の具体的な流れや費用の違いについては、こちらの記事を参考にしてください。
家の買い替えをスムーズに進めるためには、自身が求める条件に合わせやすい買い替え手順で計画を立てることが大切です。
ここでは、売り先行のメリット・デメリットを知り、自身にとってどんなメリット・デメリットがあるのか確認していきましょう。
売却を優先して進めることで、現在住んでいる家の売却で得たお金を「資金」として活用できます。
現在住んでいる家の売買契約を締結するころには最終的な成約価格が決定しているため、新しい家の購入に向けた資金計画も、より具体的な内容で作成できるでしょう。
概算ではなく確定した金額にもとづいた資金計画が立てられると、現実的な計画となり、計画失敗のリスクを減らせます。
また、売り先行で家の買い替えを進めると、新しい家の購入に向けた資金調達を急ぐ必要がなく、売却活動に専念できます。
売却活動を焦らず進められると、買主様からの価格交渉を無理して応じる必要がない、短期間のうちに売出価格を値下げする必要がない、後悔につながるような妥協をせずに済むといったメリットがあります。
現在住んでいる家の売却後、引き渡し日までに新しい家へ引越しできないと、仮住まいが必要となる可能性があります。
仮住まいが必要な場合、仮住まい先の家賃や二度の引越しに費用がかさむ、引越し業者の手配や荷造りに労力がかかるといったデメリットが考えられます。
売り先行は優先して資金をつくり、より具体的な資金計画をもとに家の買い替えを進められる方法です。
自己資金に余裕がない、現在住んでいる家の住宅ローンに残債があるという方は、売り先行で堅実な資金計画を立てていくことがおすすめです。
また、市場や景気の変動などにより現在住んでいる家の成約想定価格を把握しにくいという場合も、売り先行で資金計画を固めておくと安心です。
なぜなら、万が一、現在住んでいる家の成約価格が想定価格や相場を大きく下回ってしまった場合、買い先行では買い替え後の資金面の負担が避けられなくなってしまうためです。
売り先行で資金の上限を確定できれば、新しい家の希望価格を見直す、無理のない資金計画で住宅ローンを組むなどの対策を経て、資金面のリスクを抑えた買い替えを進められるでしょう。
家の買い替え手順は、買い替えにかけられる資金や時間などによっても変わります。
買い先行のメリット・デメリットを知り、売り先行と買い先行、どちらが自身の計画に適しているのか考えてみましょう。
買い先行で家の買い替えを進めると、いつまでに引越ししなければいけないという条件に縛られないため、新居探しに多くの時間をかけられます。
仮住まいの負担がない、引越しが一度で済むという点は買い先行のメリットといえるでしょう。
また、引越し後は現在住んでいる家を空き家の状態で売りに出せます。
売り先行の買い替えに比べると掃除や内覧準備がしやすく、売却活動でプラスになることもあります。
買い先行の買い替えには、資金計画が定まりにくいというデメリットがあります。
現在住んでいる家の成約価格が予想を下回ると資金計画が崩れてしまう可能性があり、買い替え後、資金面の負担は大きくなります。
また、現在住んでいる家の住宅ローンが残っていると、新しい家の住宅ローンと支払い期間が重なり、二重ローンになってしまう可能性もあります。
二重ローンは、そもそも住宅ローン審査が通りにくいといったデメリットがあるため、購入手続きを複雑にしてしまう要因のひとつといえます。
新しい家の購入を優先するには自己資金の準備も欠かせませんが、難しい場合は売却活動を進めなければならない状況になるなど、臨機応変な対応が求められます。
買い先行は新しい家を探すことに多くの時間を割ける反面、ある程度の資金を必要とする方法です。
自己資金にゆとりがあれば、現在の住宅ローンの返済や、新しい家の住宅ローン審査を済ませ、スムーズに買い替え手続きを進められるでしょう。
新しい家の住宅ローンで金額を抑えられると、買い替え後の金銭的な負担も減らすことができます。
自己資金の問題や資金計画における不安が大きい場合、売り先行でしか家の買い替えを進める手立てはないのでしょうか。
ここでは、自己資金に余裕がない場合でも買い先行で家の買い替えを進められる、「つなぎ融資」について解説していきます。
つなぎ融資とは、特定の支払いを目的として一時的に借り入れする融資のことです。
家の買い替えで利用されるつなぎ融資の場合、買い先行における新しい家の購入費用のために借り入れるケースが一般的です。
つなぎ融資を利用した買い先行の買い替えでは、現在住んでいる家の売却が済んでいなくても、新しい家の購入費用につなぎ融資を充てられます。
買い先行の場合、本来は自己資金に余裕がなければ家の買い替えを進めることが困難ですが、つなぎ融資を利用すると自己資金に余裕がない場合も買い先行で家の買い替えを進められます。
このようなことから、買い先行の買い替えをスムーズに進めるならば、不動産仲介会社へ相談のうえ、つなぎ融資を利用することも選択肢のひとつです。
つなぎ融資を利用する際は不動産仲介会社が現在住んでいる家の最低保証額を設定して売り出し、万が一に売却ができなかった場合は不動産仲介会社が最低保証額で買い取る流れとなります。
つなぎ融資で借り入れる金額は不動産仲介会社が設定した最低保証額までが目安となるので、買い先行のデメリットである不確定な資金計画をより現実的なものにできるでしょう。
最低保証額以上の成約価格で売却できた場合は、後の資金計画にゆとりが持てます。
つなぎ融資は買い先行の買い替えを進めやすくなるといったメリットがありますが、後の失敗を避けるためには、利用することによるデメリットについても知っておく必要があります。
〈メリット〉
〈デメリット〉
つなぎ融資は、現在住んでいる家が売却できることを前提とした住宅ローンです。売却前に融資を借り入れるため、不動産仲介会社の保証などがなく売却ができなかった場合のリスクは大きなものとなります。つなぎ融資を利用する際は現在住んでいる家の売却が見込めるか、万が一、売れない場合の保証はあるかといった点を事前に確認しておきましょう。
人気の物件で他の購入者に先を越されたくない、早急に新しい家を購入して引越しをする必要があるなど、買い先行で買い替えを進める理由がある場合、デメリットや注意点を理解したうえでつなぎ融資の利用を検討することがおすすめです。
家を買い替える際、「売り先行」と「買い先行」どちらの手順で手続きを進めていくか迷う方もいるでしょう。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、まずは現在住んでいる家が売却できるかどうか、売却できる場合は成約想定価格がどれほどか把握し、失敗のリスクを最低限に抑えることが重要です。
現在住んでいる家の相場や成約想定価格を知るには、複数の不動産仲介会社へ査定を依頼して、査定内容をよく比較してみましょう。
複数の査定結果から現在住んでいる家の売却めどが立てば、大まかな資金計画を立てることも可能です。
資金計画や自身の希望から、「売り先行」と「買い先行」どちらが適しているのか判断し、不安があればプロのアドバイスを参考に手続きを進めていきましょう。
多くの不動産仲介会社では、つなぎ融資制度をはじめ、家の買い替えをサポートするためのサービスが用意されています。
査定依頼の際に買い替え予定である旨を伝えると、条件に合ったサービスを提案してもらえることもあります。
査定依頼や家の売却のコツについて、こちらの記事でも詳しく解説しています。
家の買い替えの流れや「売り先行」「買い先行」のメリット・デメリットについてまとめてまいりました。
失敗のリスクを減らしてスムーズに家を買い替えるには、買い替え全体の流れ、手順を把握することが欠かせません。
買い替えの手順は売却と購入どちらを優先するのかによって大きく異なります。
まずは現在住んでいる家の成約想定価格を知り、自身に適した買い替え方法を選ぶことから始めましょう。複数の不動産仲介会社へ査定を依頼すると、提供しているサービスや対応の良さなども合わせて比較できます。家の買い替えを検討している人は、まずは「すまいValue」が提供している「一括査定サービス」を利用してみてはいかがでしょうか。
宮本弘幸
宅地建物取引士
1960年石川県加賀市生まれ。大学卒業後、大手ハウスメーカーの営業として20年勤務した後、地元、金沢小松、加賀で不動産・住宅の営業に携わる。2016年より、石川県小松市にて、株式会社みやもと不動産を開業。お客さまのニーズをよく共有し、最適な提案を行う営業スタイルで、お客さまに愛される不動産業を心がけている。宅地建物取引士のほか、ファイナンシャルプランナー(AFP)、相続診断士などの資格を保有。
最後までお読みいただき、
ありがとうございます。
ご回答ありがとうございました。