売却予定の家にある家具・家電・付帯設備などは、不動産売買契約で取り決めたもの以外は、売主様側で撤去、処分するのが一般的となります。これは多くの買主様が、既に同じような家財を所有していたり、入居のタイミングで新調することなどから残念ながら売主様が所有している家財の引渡しは不要と判断されてしまうことがあります。
また、買主様がまだ見つかっていない場合には、あまりにも家財が多すぎると購入検討者の内見(内覧)時の印象にも影響を与えることがあります。あまりにも家財が多く、不動産の引渡し時に撤去・処分することを予定している家財がある場合については、あらかじめ処分しておくことをオススメいたします。家の中をできるだけ広くきれいに感じていただけるよう、計画的に家財の撤去・処分を進めていきましょう。
不要となった家具・家電などの家財の処分方法は、以下のような方法があります。
・リサイクルショップ
・不用品買い取り業者
・NPO法人や団体への寄付
・自治体(粗大ごみ)など
「撤去・処分する予定の家財が多く、売却活動開始までに間に合うか不安」「どこに撤去・処分を依頼すればいいか分からない」「処分にかかる費用の目安が分からず困っている」など、家具・家電などの家財の処分方法に不安なことがあれば、不動産仲介会社の担当スタッフに相談してみましょう。
不動産仲介会社は、売却にあたっての家財の処分方法などで売主様より相談を受けるケースがよくありますので、信頼できる処分業者などを知らないなどお悩みの場合には、不動産仲介会社の担当スタッフに相談の上、処分業者などを紹介してもらうとよいでしょう。
付帯設備とは、以下に記したような物件毎に付随している主な設備(本稿では、一般社団法人不動産流通経営協会標準契約書式の内容や土地建物・土地用の付帯設備表を基に記載しています。)のことをいいます。家(不動産)に付帯している設備内容ごとに、どれを買主様へ引き渡すのか、また、どれを引き渡さずに売主様側で撤去・処分するのか売主様・買主様間で不動産売買契約締結時までに取り決め、書面化をおこないます。
具体的には不動産売買契約書の付属書類である「付帯設備表」と呼ばれる書類に付帯設備の有無や状態(故障・不具合)などを項目ごとに明記し、売主様・買主様にて署名・押印します。
付帯設備表は、次に記した「主要設備」と「その他設備」の設備に大きく区分され、前者は給湯関係や水廻り関係の設備など、後者は、照明関係や収納関係の設備など、それぞれの設備毎に引き渡し内容の取り扱いを決められるよう構成されています。
《主要設備》
【給湯関係】
給湯器、バランス釜、太陽熱温水器 など
【水廻り関係】
・厨房設備
流し台、コンロ・グリル、レンジフード(換気扇)、オーブン・オーブンレンジ、浄水器、食器洗い機 など
・浴室設備
シャワー、追焚き・足し湯・保温、浴室内乾燥 など
・洗面設備
鏡・シャワー・コンセント・くもり止め など
・トイレ設備
保温・洗浄・乾燥 など
・洗濯機用防水パン
洗面所 など
【空調関係】
冷暖房機、冷房機、暖房機、床暖房設備、換気扇、24時間換気システム など
【その他】
・インターホン、ドアチャイム など
《その他の設備》
【照明関係】
・屋内照明器具、屋外照明器具 など
【収納関係】
・食器棚(造付)、つり戸棚、床下収納、下駄箱 など
【建具関係】
・網戸、雨戸、戸・扉、ふすま、障子 など
【その他】
TVアンテナ、カーテンレール、カーテン、物干し、車庫・カーポート、物置、庭木・庭石・灯ろう、門・表札・へい・フェンス・垣根 など
給湯関係や水廻り関係の設備、また、造付の家具など生活に欠かせない設備については、買主様に引き渡すことが一般的となりますが、照明器具やエアコンなどの設備については、設備の状態や買主様の希望によっても判断が異なってきますので、購入申込が入った後、不動産売買契約締結時までに契約条件の調整の中で最終的に引き渡しの取り扱いを決定していくこととなります。
また、売主様は、引き渡すとした設備のうち付帯設備表の「故障・不具合」項目に「無」とした「主要設備」については、買主様に使用可能な状態で引き渡す責任があります。したがって、家の引渡し後に、使用可能な状態で引き渡すと明記した「主要設備」に故障・不具合があった場合には、引き渡し完了日から7日以内に限り、売主様に修復義務が発生いたします。
「実は凄くよい家具を使っており、それを物件に付帯し引き渡すから売却価格を上乗せして欲しい」「食器棚や古いエアコンなど、処分に費用がかかるものは残していきたい」といったケースもあるかもしれません。しかし、家の売却では、買主様側からの希望がないかぎり不要な家財は売主様側で撤去・処分することが基本となります。既述したように、家財が残っていることで内見(内覧)時にマイナスの影響をもたらす可能性も考えられます。
また、価値のある家具を残したからといって、通常、売却価格が高くなることはありません。
もし、「価値のある家財だけど不要」という判断に至った場合には、それらの専門業者へ依頼して本来の価値を判断して引き取ってもらうなど、売主様側で事前に処分を進めることが得策でしょう。
家を売却する時の家財の処分や付帯設備の取り扱いについてまとめてまいりました。
家を売る時は、内見(内覧)までに不要な家財を処分することがオススメです。居住中の家を売りに出す場合には、すべての家財を撤去・処分するには限界がありますが、トランクルームなど外部のサービスを利用することで内見(内覧)時の印象をアップさせることも可能となります。
また、不要な照明器具・エアコン・カーテンなどがある場合でも状態が良好であれば買主様から引き渡しを希望されることもありますので、そのような設備や家財については、不動産売買契約時まで残しておき、契約条件の折衝時に買主様に引き渡すのか、売主様にて撤去・処分するのかを最終判断するとよいでしょう。
今回ご紹介した内容を参考に家具などの家財の処分・撤去を計画的に進め、どのように判断したらよいか迷う場合には、不動産仲介会社の担当スタッフへ相談をしましょう。
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小林弘司
不動産コンサルタント/不動産投資アドバイザー
東京生まれ、東京育ち。海外取引メインの商社マン、外資系マーケティング、ライセンス会社などを経て、現在は東京都内にビル、マンション、アパート、コインパーキングなど複数保有する不動産ビジネスのオーナー経営者(創業者)です。ネイティヴによる英語スクールの共同経営者、地元の区の「ビジネス相談員」、企業顧問なども行っています。
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