結論からいうと、不動産売却は個人でもおこなうことが可能です。個人による不動産売買は法律上の規制もないため、売却しだしてから成約まですべて売主様で全うすることができます。
しかし、個人で不動産売却をおこなう場合、買い手を探すことから、契約・手続きまですべて自分一人でおこなわなければいけません。買主様としては不動産仲介会社を通さない売買に契約上のトラブルやリスクなどを感じやすいため、個人による不動産売買は活発ではないのが現状です。
宅地建物取引業者など、不動産仲介会社が不動産仲介をおこなった場合、契約書などの書面を交付することが宅地建物取引業法(37条)で義務づけられています。この法律には仲介業者が仲介するにあたっての規定が設けられており、不動産仲介会社を仲介に挟んだ契約において買主様が安全に保護されています。
一方、個人間の取引では特にルールや規定はなく、書面交付なども特に義務づけられていません。効力を持たない口約束や虚偽の契約などによるトラブルなど、買主様・売主様ともに契約上のリスクがあります。
次は、不動産の個人間取引による具体的なメリット・デメリットを確認していきましょう。
個人で不動産の売却をおこなうと、以下のようなメリット・デメリットがあります。
・仲介手数料が発生しない
不動産を個人で売却する大きなメリットです。不動産仲介会社への仲介手数料は、一般的に【成約価格×3%+6万円(※)】で算出され、成約価格が高額になるほど仲介手数料も高額になるため、考え方によってはメリットと捉えることもできるでしょう。
ただし、個人で不動産を売却する場合は自分で買い手を探す必要があるため、手数料が発生しないことがすべてにおいてメリットとはいえません。
・自分で買い手を探す必要がある
不動産仲介会社ではインターネットやチラシ、独自のルート等の幅広い媒体を駆使して不動産の買い手を募ります。個人による不動産売買では広告掲載や登録、管理、問い合わせ対応などをすべて自分で対応する必要があるため、多くの時間と労力を必要とします。
・売買時にトラブルが発生してもすべて自分で対応しないといけない
不動産売却における代表的なトラブルには、「不動産の不具合の発覚」「書類の不備の発覚」「説明不足によるトラブル」が挙げられます。また、慣れない作業で購入希望者との連絡が滞ると、トラブルに発展してしまうリスクもあります。
不動産仲介会社を介した売却では、不動産売買で不備がないようサポート・フォローがおこなわれ、書類や重要事項の説明についても必ず専門の資格を持った担当者が対応します。専門知識を持たない個人の場合はこれらの点で不備が起きやすいため、注意が必要です。
・契約不適合責任を負う可能性がある
契約不適合責任とは不動産の売買契約において、売主様が買主様に引き渡した不動産の種類・品質・数量が契約内容に適合しない場合に、売主様が買主様に対して負う責任のことです。負う責任は、追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、法定解除権と範囲が広く、個人で管理しきれない部分もあるでしょう。売買の際に不動産仲介会社を通している場合は、問題が起きた際に買主様との間に入って対応してもらえるケースが多いですが、個人売買ではすべて自分で対応しなければいけません。
・レインズに登録ができない
レインズとは、不動産流通機構が運営・提供する不動産専門のネットワークシステムを指します。ここに登録された不動産情報は全国の不動産仲介会社で閲覧が可能となるため、売却したい不動産の情報をいち早く広め、買い手を見つけることが可能です。しかし個人売買において、レインズの登録や利用することはできません。前述のように、買い手を見つけるために相応の工夫や努力が必要となります。
このように、個人の不動産売却には多くのデメリットがあります。各種保証やサポート、アフターフォローについても不動産仲介会社へ依頼するほうが多くのメリットがあるため、リスクを考えると不動産の個人売買はおすすめできません。
個人間の不動産売却における、メリット・デメリットについてまとめました。
不動産の売却は個人でもおこなえるものの、デメリットが多いためおすすめはできません。もし、仲介手数料費用を抑えたいなどの理由で個人での不動産の売却を検討している場合であっても、安易に個人での売却には踏み切らないことをおすすめします。
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田井 能久
不動産コンサルタント
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。
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