アパート売却で基本の手順とポイントについて見ていきましょう。
”売りたい価格”が相場から大きく離れないために、価格相場の調査は欠かせません。
近隣のアパートがいくらで売却されているのか確認するには、国土交通省「土地総合情報システム」を活用できます。
近隣のアパートの成約価格から、売りたいアパートの大まかな相場を把握できます。
近隣のアパートの売却実績が見つからない場合は、売りたいアパートと似た条件のアパートの売出状況をチェックしましょう。条件は「築年数」「間取り」「最寄り駅」に注目することがおすすめです。
不動産仲介会社によって得意・不得意は異なり、保有する売却実績・仲介実績もさまざまです。仲介を依頼する不動産仲介会社を探す際は、売買実績の豊富な不動産仲介会社を見極めましょう。
特別な知識がなくても、まずは複数の不動産仲介会社へ相談・査定依頼をすることで複数社の対応を比較できます。
不動産仲介会社を選ぶポイントとしては、
を意識することが大切です。
すまいValueは大手6社の不動産仲介会社が入っており実績も豊富なため安心して相談・査定依頼を行うことができます。
仲介を依頼する不動産仲介会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約は、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の中から売主様の希望で決定します。
媒介契約時は、契約内容(売却活動の内容、仲介手数料など)に不安や疑問点がないか確認し、了承のうえサインしましょう。
売却活動が進み、購入希望者が出てきたタイミング(※)で以下のような書類を準備しましょう。
※必要書類の準備タイミングについては、不動産仲介会社の担当者に確認をとりつつ進行をしましょう。
売買契約に至るまでに、買主様から値下げ交渉を持ちかけられるケースがあります。無理な値下げ交渉を避けたい場合は、不動産仲介会社と相談のうえ、事前に最低売却価格を定めておくことがおすすめです。
交渉の際は両者が納得しやすい条件を提示するか、買主様に選択の余地があるよう、いくつかの折衷案を提示するのも良いでしょう。
買主様が決定したら、アパートの売買契約を締結します。売買契約は買主様・売主様・不動産仲介会社の三社でおこなうため、売主様は買主様へ契約に関する説明や進行を務めるといった心配はありません。
売買契約のための書類や買主様とのスケジュール調整も不動産仲介会社がおこなうので、担当者の進行に合わせて成約・引渡に備えましょう。
売却代金を受け取ったら、所有権の移転や抵当権の抹消手続きなど必要な手続きを済ませましょう。登記関連の手続きは司法書士に依頼できます。
すべての手続きが完了したら、不動産仲介会社への仲介手数料や税金の支払いをおこない、アパート売却は終了です。(所得税や消費税については、原則として確定申告が必要となります)
アパート売却時の税金には次のようなものがあります。
アパート売却で譲渡収入があった場合、所得税・住民税の課税対象となります。それぞれの税率は物件を所有していた期間(短期・長期)によって異なるため、正しい税率を知っておきましょう。
〈譲渡所得計算式〉
譲渡所得 = 成約価格-(取得費+譲渡費用)
※取得費=購入時の成約価格-減価償却費
〈税額計算式〉
税額=譲渡所得×税率(所得税・住民税)
〈税率〉
短期(譲渡の年の1月1日で5年以下):税率39.63%(所得税30.63% 住民税9%)
長期(譲渡の年の1月1日で5年超):税率20.315%(所得税15.315% 住民税5%)
消費税は建物の売却分にのみ課税され、土地分については非課税です。
ただし売主様が消費税の課税事業者でない場合は、消費税は発生しません。消費税の課税事業者とは、前々年の課税売上高が1,000万円を超え、かつ、次の条件に当てはまる方をいいます。(特例あり)
・法人
・個人で不動産投資をおこなっている事業者
・個人で不動産投資をおこなっている投資家
つまり、前々年の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主や事業的規模で継続的な不動産投資をおこなっている方は、消費税の課税事業者として個人でも消費税が発生します。 例えば、「相続で得たアパートを売却した」など投資目的でない場合や「生活用のアパートを売却した」場合、消費税はかかりません。
復興特別所得税とは、復興実施の財源確保のための政策で創設された税金です。復興特別所得税の課税対象となる所得期間は2013年1月1日以降から2037年12月31日まで、税額は「所得税額×2.1%」と規定されています。また、住民税の税額は、2014年から2023年まで年間1,000円となります。
アパート売却では、このほか印紙税が発生します。印紙税額は成約価格により異なります。また、2014年4月1日から2020年3月31日までの期間に作成された売買契約書では軽減税率適用の印紙税額となる点に注意しましょう。
アパートの建物を売却したい売主様に向けて、具体的な費用をまとめました。
費用 | 概要 | 金額 |
---|---|---|
不動産仲介会社への仲介手数料 | 仲介報酬として不動産仲介会社へ支払う |
取引額200万円以下の金額 取引額200万円を超え400万円以下の金額 取引額の3%以内(+消費税) 一番使われる簡単な式 → 売買価格×3%+6万円+消費税 |
買主様へ賃料の一部支払い | 不動産売却後に請求がくる賃料の一部(日割り計算)を買主様へ支払う | 買主様との精算内容により異なる 支払いが発生する場合は日割り計算にて算出 |
クリーニング費 | アパートのクリーニングにかかる費用 | 5万円~15万円 |
立ち退き料 | 入居者へ立ち退きを依頼する場合にかかる費用 | 新居の入居にかかる費用 (保証金・敷金/礼金・仲介手数料など) もしくは家賃の半年~1年分 |
司法書士費用 | 登記関連の手続きを司法書士に依頼するための費用 | 2万円~3万円 |
測量費用 | 確定測量などをおこなう場合にかかる費用 | 50万円~80万円 |
廃棄物処分費 | 不要な設備の撤去など廃棄物の処分にかかる費用 | 10万円~50万円 |
アパート売却のタイミングを見極めるには、以下の4つのポイントを総合的に見て判断することが大切です。
景気の変動に目を向け、アパートの価値が低下するより早く売却に踏み切ることが大切です。
築年数が経過するにつれアパートの価値は下がりますが、保有期間が5年を超えると税金を抑えられるなどのメリットもあります。総合的に利益を得やすいタイミングで売却するよう心がけましょう。
多くの買主様は、中古アパートの修繕履歴を重視しています。修繕をおこなったばかりのアパートなら、期間が空いてしまう前に売却するのが理想といえます。
アパートの保有期間が短期(5年以下)・長期(5年超)かで、譲渡所得に係る所得税の税率が異なります。
アパート売却により大きな利益が見込める場合は節税による効果を発揮しやすいですが、「あまり利益が見込めない」「長期保有するまでの間に物件の価値が下がりそう」といった場合は節税による恩恵を受けにくいため注意してください。
また、1つの考え方として、減価償却による所得税の節税効果と経費計上できない元金返済負担が逆転する「デッドクロス」を迎えたら売却するという考え方もあります。
アパートが老朽化している場合は更地にして土地のみを売却するなど、損失をできるかぎり抑えられるタイミング・方法を選んでいきましょう。
アパートの売却の手順・税金・費用についてまとめてまいりました。
アパート売却は、貴重な資産を管理・運用し、最終的に利益として手元に残せるよう工夫していく必要があります。運用計画や売却タイミングに迷った場合は数多くの不動産売却を手掛けてきたすまいValueに相談してみてはいかがでしょうか。
土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
酒向 潤一郎
税理士
J’sパートナー総合会計事務所(酒向潤一郎税理士事務所)にて、税理士として会計事務所の経営を行う一方で、一部上場IT企業の幹部や投資会社の監査役などを務める複業税理士。最近では開業・副業コンサルに注力。会計専門誌などにも複数寄稿している。
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