物件の購入にあたり、高額な住宅ローンを借り入れしている方もいるでしょう。
借り入れ当初は生活の負担にならない返済計画だったとしても、予期せぬ環境の変化や計画不足から住宅ローンが家計を圧迫してしまう可能性があります。まずは、住宅ローンが生活苦を招く主な理由について見ていきましょう。
誰にでも起こりうる失業や病気ですが、住宅ローンを借り入れた当初は誰も想定することができません。住宅ローンを借り入れる際は「安定した収入」を前提に返済計画を立てているため、予期せぬ失業や病気に見舞われると、家計が圧迫され、返済計画に狂いが生じる場合があります。
子どもの将来を考えて教育費を優先的に捻出する場合、住宅ローンの返済が家計を圧迫する場合があります。とくに、想定していなかった「私立大学(高校)への進学」は学費だけで高額な費用がかかり、国立・公立でかかる学費と比べるとその差は数百万円にのぼることも珍しくありません。進学先によっては想定以上の教育費がかかり、住宅ローンの返済を圧迫することもあります。
本来ならば生活苦にならないはずの高い収入を得ていても、収入に見合わない贅沢や浪費から家計が苦しくなるケースがあります。月々の住宅ローンの返済金額と収入のバランスが崩れないよう、身の丈に合わせた生活を心がけることが大切です。
「現在は収入に余裕があるから大丈夫」「家族や友人に頼めばお金のことはなんとかなる」など、お金に対する楽観的な考え方は後に生活苦を招く場合があります。具体的な将来設計や返済計画を練らずに安易に住宅ローンを組んでしまうと、環境の変化やトラブルがあった際に自力で金銭的な対処ができなくなってしまう可能性があります。
住宅を購入すると、住宅ローンのほかにも毎年の固定資産税や建物の維持費がかかります。
例えば、戸建てならば定期的なメンテナンス費用や保険費用、マンションならば毎月の管理費や駐車場代、修繕積立金などがあります。税金や維持費は物件ごとに異なるため、可能なかぎり正確な計算をもとに必要な費用を把握することが大切です。この計算を誤ると、将来的に住宅ローンの返済が苦しくなってしまうこともあります。
住宅ローンが払えなくなったら、「財産が差し押さえられて家を手放すことになるのでは?」と心配している方も多いでしょう。
住宅ローンの返済が滞った場合、滞納期間により金融機関の対応は異なります。
実際には、住宅ローンを滞納したからといってすぐに立ち退きを求められるようなことはないため安心してください。住宅ローンを払えなくなった場合の基本の流れについて確認していきましょう。
金融機関への連絡や相談なしに住宅ローンの返済をしないでいると、金融機関から督促の連絡がきます。この督促は早期の住宅ローン返済を求めるもののため、支払いが可能な場合は速やかに所定の返済金額を支払うことが大切です。万が一、事情により「住宅ローンの滞納が続きそう」「今後払えなくなることが増えそう」という場合は、金融機関からの督促が来る前にできるだけ早く金融機関へ相談する必要があります。
事前の相談や連絡なしに滞納期間が3ヶ月以上になると、返済が済んでいない住宅ローン(残債)の一括返済を求められるケースがあるため注意してください。多くの場合、住宅ローンの一括返済は資金不足により実行が難しく、住宅は任意売却により手放す形となります。
任意売却に関して、詳しくは下記で解説いたします。
特別な事情がないかぎり、滞納期間が半年を超えると返済能力がないとみなされてしまいます。半年以上に渡る滞納は住宅の差し押さえのリスクが高まるため注意してください。差し押さえられた住宅は金融機関により競売にかけられ、市場価格を大きく下回る価格で売却されます。これは、住宅ローンの滞納で多くの方が不安に感じる、もっとも避けて通りたいケースです。
住宅ローンの残債がある不動産を売却する詳しい方法については、こちらの記事も参考にしてください。
やむを得ない事情から生活苦で住宅ローンが払えなくなってしまっても、住宅ローンの支払い義務が免除されることはありません。住宅ローンの返済が難しい場合の対策のひとつである「任意売却」について見ていきましょう。
任意売却とは、住宅ローンの支払いが困難となった場合に、金融機関の合意のもと実行できる住宅の売却方法です。
市場価格に近い価格で売却でき、競売よりもプライバシーを守りやすい点が大きなメリットです。
住宅の売却には仲介手数料や登記費用などさまざまな諸費用がかかりますが、任意売却では住宅を売却して得た金額からこれらの費用を差し引ける点も債務者にとってのメリットとなります。
金融機関により実行される競売に比べると、任意売却で債務者が得られるメリットは多く、後の生活を続けていくための最終手段に選ぶことができます。
任意売却による売却金額が住宅ローンの残債に届かない場合もあるでしょう。残った住宅ローンの返済については金融機関と交渉し、無理のない範囲で返済を続けていくことになります。
月々の返済金額は収入や生活状況などを考慮して決められるため、「家を手放してもなお借金で生活が苦しい」といった心配はありません。返済金額は状況により異なりますが、月5,000円~30,000円程度の小額に設定されることもあります。
やむを得ない事情から住宅を任意売却することになった場合、少しでも有利な条件で成約するためにも、不動産一括査定サービスを利用しましょう。一括査定で住宅の価格相場を知ることができれば、焦って適正価格より安値で売り出してしまうといった失敗を未然に防げます。
住宅ローンが家計を圧迫し、生活苦になってしまうリスクは誰にでもあります。
万が一住宅ローンが支払えなくなった場合も、滞納期間が半年を超えなければ立ち退きを求められるようなことはありませんが、早めに金融機関に相談することが重要です。
住宅ローンの返済が厳しくなりそうな場合、またはやむを得ず任意売却となってしまった場合、少しでも有利な条件で住宅ローンを返済していくためにも、信頼と実績のある不動産仲介会社と媒介契約を結びましょう。
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金 弘碩
二級建築士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・マンション管理士・賃貸不動産経営管理士・CFP/貸金業務取扱主任者
不動産仲介・不動産管理・不動産鑑定・現場監督業務など、合計18年勤務。現在は『すまいとくらしのカウンセラー 住宅専門FP 』として、住宅購入者へのアドバイス・コンサルティング業務を行う。最近は、住宅ローンのアドバイスに注力しています。
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