不動産贈与と売却の違い、および贈与税の仕組み

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不動産贈与と売却の違い、および贈与税の仕組み

高齢化社会の昨今。終活などという言葉が流行し、資産を持つ高齢者に資産の処分を検討する動きも見られます。親からの相続を受ける前に不動産を譲り受ける、いわゆる「贈与」について気になるという声も耳にすることがあります。また、「売却」とはどんなところが違うのかも気になるところではないでしょうか。ここでは「不動産の贈与と売却」について、その言葉の違いを知るとともに、親族間で贈与した時に発生する贈与税の仕組みについても解説してまいります。

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そもそも贈与とは何か?

そもそも贈与とは何か?

「贈与」とは、相手に贈り与えることを指しています。言い直せば「プレゼント」であり、不動産に関する「贈与」も同様に自分が所有する不動産を相手に無償で渡すことを指しています。

一般的には、土地名義人が存命の間に不動産を誰かに贈る「生前贈与」の方法があります。また、遺言などにより法定相続人以外の第三者へ不動産を贈与する方法なども考えられます。

「贈与」と「譲渡」の違いを知ろう

自己所有の不動産を手放すという場合、「贈与」と「譲渡」の二つの方法があります。

「贈与」は先述のとおり、親族や第三者に不動産を無償で渡すことを指します。ただし、法律行為としての「贈与」を成立させるためには贈与を受ける側が贈与を承諾し、贈与契約を成立させることが必要です。

一方で「譲渡」とは、不動産を譲り受ける対価を設定し、譲受者から対価となる金銭を受け取る行為を指します。簡単に言うと、不動産売買が「譲渡」に当たり、売主様である不動産所有者は買主様と売買契約を交わすことによって、譲渡が成立します。

贈与税が課せられるケースと計算方法

贈与税が課せられるケースと計算方法

不動産を売却(譲渡)した場合には、その不動産を売却した側、売却代金をもらい受けた側に譲渡所得税が課税されます。贈与契約をおこなった場合の課税はどうなるのでしょうか。

贈与税は、個人から財産をもらい受けたときに課される税金です。つまり、「不動産をもらった側」に納税の義務が発生します。このような理由もあり「贈与契約には贈与を受ける側の承諾が必要」になるのです。

贈与税の計算方法

贈与税には暦年課税と、相続時精算課税の二つの課税方法があります。

【暦年課税(れきねんかぜい)】……個人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額に贈与税を課税する方法

一年間に贈与を受けた額―基礎控除額110万円=贈与税課税対象額

贈与税は110万円を超えた部分に課税されます。贈与を受けた額が110万円以下であれば、贈与税の申告は不要です。

例・母から子(未成年・一般贈与財産)へ1年間に450万円の土地贈与をうけた場合

450万円―基礎控除額110万円=340万円(贈与税課税対象額)
340万円×15%-10万円(控除額)=41万円(贈与税)

平成27年(2015年)に贈与税の税制が改正され、「一般贈与財産(一般税率:兄弟・夫婦間、親子間の贈与で子が未成年者の場合)」と「特例贈与財産(特例税率:直系尊属からその年の1月1日の時点で20歳以上の子や孫に対する贈与の場合)の2つの区分ができました。下記に記すのは速算ができる表です。基礎控除を行った額に対して計算式を当てはめていきます。

一般贈与財産

基礎控除後の課税価格 200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 - 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

特例贈与財産

基礎控除後の課税価格 200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
4,500万円
以下
4,500万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 - 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

【相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)】……相続時精算課税を適用すると、贈与者(財産を贈る人)ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額合計から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して20%の税率で贈与税が課税されます。

つまり、2,500万円までの贈与であれば贈与税は非課税となります。

この2,500万円の特別控除額は相続時精算課税を選択した以降、複数年にわたって利用することができます。したがって、一年間に贈与を受けた金額が2,500万円に満たない場合は繰越控除をおこなうことができます。

一年間に贈与を受けた額―特別控除額2,500万円=贈与税課税対象額
(繰越控除可能)

ただし、贈与者が死亡し相続が発生した場合、相続財産の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額を加算して相続税額を計算することになります。このとき、先に相続時精算課税を適用して支払った贈与税があるときは、相続税額から控除することができます。

贈与者から生前贈与をうけて相続財産を減らすことは、相続税の節税につながると考えることもできますが、「生前贈与した財産も相続財産と同じ扱い」という考え方の下で行われる課税方法です。

なお、この相続時精算課税は誰でも使えるわけではなく、原則として60歳以上の父母や祖父母から、20歳以上の子や孫などに対して、贈与をした場合に適用することができます。

例・父から子 相続時精算課税の適用

【1年目】1,000万円の不動産贈与 贈与税の課税なし

2,500万(特別控除額)-1,000万円(贈与額)
=特別控除額1,500万円の残(繰越控除可能額)

【2年目】3,000万円の不動産贈与

3,000万円(贈与額)-1,500万円(繰越控除)
=1,500万円(贈与税課税対象額)

1,500万円×20%=300万円(贈与税)

贈与者である父が死亡したのちに相続を受ける場合、相続財産と贈与を受けた4,000万円分の合算に対して相続税が課税されます。ただし、贈与税として納税した300万円は控除することができます。

相続時精算課税を用いることで、2,500万円までの生前贈与であれば、贈与人の死亡時相続が発生した時まで納税の猶予がかないます。

また、この制度を利用する場合には、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に、税務署に相続時精算課税を選択した旨の届け出を申告書に添付して提出する必要があります。

例外的に贈与税が課せられないケースとは

  • 110万円以下の贈与であること
  • 離婚による財産分与で得た不動産など

例外として贈与税が課せられないケースも存在します。先にも記しましたが、暦年課税を選択した場合、基礎控除額である110万円を下回る贈与のケースでは贈与税は発生しません。

また、離婚による財産分与を受けた場合、夫婦間の財産関係の清算や離婚した後の生活保障といった意味合いがあるため、贈与税の発生はありません。

ただし、課税を免れるための離婚と認められた場合や、財産分与というには多額の贈与を受けた場合は贈与税がかかります。

親族間の「みなし贈与」という注意点

無償で不動産を渡すことを「贈与」といいます。中には、売却(譲渡)などの手段を利用し、贈与税がかからない方法で親族に不動産を手渡す方法が見られます。税法上では「みなし贈与」と呼ばれるケースがあり、それが認められた場合は売買契約において入手した不動産でも贈与税が加算されます。

「みなし贈与」こんな事例に注意!

「みなし贈与」と判断される事例は、たとえば不動産評価額3,000万円の不動産を子どもに1,000万円で売却するケースなどです。路線価などから算定された3,000万円の価値がある土地を1,000万円で子どもに売却した場合、子どもの立場では2,000万円の儲けと受け取ることができます。税務署ではこの2,000万円の差額を「贈与」と判断し、みなし贈与税を加算することがあります。

このように売買価格が言い値によって決定しやすい親子間・親族間の取引は「みなし贈与」と判断される傾向が高いので注意しましょう。

まとめ

贈与税が課税されるケースをまとめました。課税方法を選択することによって、贈与税の支払いを相続税の算定時まで猶予できるケースなども存在するので、親の資産などを確認しながらよりよい相続・贈与の方法を模索しましょう。

また、高額になる贈与税の課税を免れるために親族間で譲渡(売却)契約をおこなう場合もあります。そのとき、言い値で売却する場合は市場価値との差額が生じやすいため「みなし贈与」とみられる場合があります。

税務署側が「みなし贈与」とみなすことで、思わぬところで税金納付という結果も見られますので、親族間で売買をおこなう場合などは注意しましょう。

土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください

<監修者>

松本佳之

税理士・公認会計士・行政書士

1980年兵庫県に生まれる。2001年公認会計士二次試験合格。2002年関西学院大学商学部卒業、朝日監査法人(現あずさ監査法人)入所。2005年公認会計士三次試験合格、公認会計士登録。2007年税理士登録後独立し、北浜総合会計事務所を開設。監査法人勤務時代は企業公開部門に所属し、さまざまな実績を重ねる。

  • ※本コンテンツは公開日時点での法制度に基づいて作成しています。
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