さまざまな方法で得た所得に対する所得税の課税方法には3種類あります。
しかし、不動産売却によって得た所得の場合は、総合課税の対象にはなりません。不動産売却の場合、株式売却と同様に、「譲渡所得」に分類され、総合課税とは別に計算して課税する「分離課税」という制度が適用されます。
分離課税は、一時的に大きな金額を所得として得た場合に、給与所得や事業所得などと合算され、重い税率が課せられることを防ぐために作られた課税方法です。不動産売却で得た譲渡所得は、まさに分離課税の対象となるため、確定申告をおこない、申告分離課税として税金を支払う必要があるのです。所得は、不動産売却による譲渡所得の他にも、大きく10種類に区分されています。「不動産所得」など、少し紛らわしい名称もありますので、その他の所得についても簡単に紹介します。
譲渡所得は、所有期間に応じて「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」の2種類があります。不動産を売却した年の1月1日時点で、それまでに不動産を所有していた期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となり、税率は異なります。それぞれの税率は以下の通りです。
※復興特別所得税は2037年までの期間限定で所得税に対して2.1%課される税金
税額を計算する際の注意点として、課税対象となる譲渡所得は、不動産の成約価格(譲渡価額)とイコールではありません。その不動産の取得にかかった費用と譲渡に際して必要となった費用の一部が経費として認められますので、その分を成約価格から差し引くことができます。
また、建物については、経年により価値が下落するため、不動産の取得にかかった費用から減価償却費相当額を差し引く必要があります。なお、売却不動産が居住用の場合や、親族から相続した空き家の場合で、一定の要件を満たすときには、特別控除として3,000万円を差し引くことも可能です。課税譲渡所得金額の計算式は以下の通りです。
上記で算出した課税譲渡所得金額に税率をかけると、支払うべき税金が算出できます。
例えば、2015年4月に購入した居住用のマンションの取得費(減価償却費相当額控除後)が4,000万円で、2019年2月に5,000万円で売却したと仮定すると1,000万円の譲渡益が出ていますが、居住用の不動産のため、特別控除3,000万円が適用でき、課税譲渡所得金額が0円となり税金はかかりません。
別のケースでも見てみましょう。2015年4月に購入した投資用マンションの取得費(減価償却費相当額控除後)が3,200万円で、2019年2月に5,000万円で売却したと仮定します。 仮に譲渡時の仲介手数料などで譲渡費用300万円かかったとすると、譲渡益1,800万円から必要経費の300万円を引いて、1,500万円が課税譲渡所得金額です。 このケースでは5年未満のため短期譲渡所得に該当するため、1,500万円×39.64%=594万6,000円が納税額となります。不動産売却で得た所得にかかる税金は、所得税、住民税、復興特別所得(2037年までの期間限定)の3種類です。不動産売却によって得た所得は、譲渡所得と言います。売却年の1月1日時点で5年より長く所有している場合は長期譲渡所得、5年以下の所有期間の場合は短期譲渡所得の税率が適用されます。
不動産売却では、大きな金額が動き、その分、税金も多額になります。資産管理のためにも、売却益に対してどのような課税がされるのかを理解し、実際にいくら手元にお金が残るのか把握するようにしましょう。
現在売却を検討されているのであれば、売却益がいくらぐらい出て、納税額がどの程度になるかを試算するためにも、まずは成約価格がどのぐらいになるのか、専門家により正確な査定をしてもらうのも良い手段です。すまいValueなら、お手持ちの不動産に関して、最大6社の不動産仲介会社へ一括査定依頼ができます。よろしければぜひご利用ください。
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松本佳之
税理士・公認会計士・行政書士
1980年兵庫県に生まれる。2001年公認会計士二次試験合格。2002年関西学院大学商学部卒業、朝日監査法人(現あずさ監査法人)入所。2005年公認会計士三次試験合格、公認会計士登録。2007年税理士登録後独立し、北浜総合会計事務所を開設。監査法人勤務時代は企業公開部門に所属し、さまざまな実績を重ねる。
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