親の死去に伴い、親が所有する不動産の処分を考える人もいることでしょう。名義が死亡した人のままの場合、その不動産を売却することはできません。いったん相続による名義変更手続きを行い、正当な相続人の名義に変更したのちに売却する必要があります。そのため、まずは被相続人(死亡した人)の財産目録を作成し、不動産の所有権の名義などを必ず確認しておきましょう。これを踏まえて、売却までの流れを説明します。
① 遺産分割協議により財産を取得する相続人を決定するこれは、法定相続人が複数いる場合に発生します。
ただし、被相続人(死亡した人)の配偶者が存命である場合、2019年の民法の改正により、安易に売却ができないケースも存在します。
被相続人(死亡した人)が遺言によって不動産の相続人や、遺贈する第三者を指名している場合があります。遺産分割協議の前に効力がある遺言などがないか確認することが先決です。② 所有権移転を行う
③ 不動産売却へ向けた手続きがスタート
相続に関する協議と所有権移転登記が終了すれば、やっと売却へ向けたスタートラインに立ちます。不動産仲介会社に不動産の売却を打診し、第三者へ売却をするための媒介(仲介)依頼を行います。また、仲介ではなく直接不動産仲介会社へ売却するという方法もあります。
買い手が見つかった後は、売買契約を結びます。代金を受け取り、購入者名義の所有権移転登記が終了すれば、一連の流れは完了です。相続には「相続税がかかる」ということは、だれしもが「なんとなくわかる」「知っている」と答えるでしょう。相続した不動産を売却すると、これにくわえて「譲渡所得税」が発生します。これらの税金の存在を認識したうえで、売却を検討することが大切です。
相続税とは?
相続税とは、被相続人(死亡した人)から遺産を継承する際に、遺産総額に対して課される税金のことを指しています。基礎控除などがあるため、おおむね遺産総額3,000万円以上の相続に関して課されます。
譲渡所得税とは?
所有期間が5年未満の場合と5年以上の場合とで、支払うべき譲渡所得税が大きく変わるので、相続した土地をすぐ手放さなければいけないという場合には、特に注意が必要です。
すぐに売却して高い税率で譲渡所得税を支払うか、所有期間に課される固定資産税や税金以外の維持費の負担を選択するか、早い段階でよく考えて決めておきましょう。不動産売却にあたって、売主様側にも売却に関する費用負担が発生します。先に何度か触れている『売却益』は次の計算式で求めることができます。
※購入金額のうち建物価格は減価償却をされた上で算定をする必要があります
この計算式にて算出された売却益が税控除対象額となりますので、節税を検討したい場合には売却時の費用負担に伴う領収証などもきちんと保管しておきましょう。
では、売却時に発生する負担費用についてどのようなものがあるのか簡単にまとめます。土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
小林弘司
不動産コンサルタント/不動産投資アドバイザー
東京生まれ、東京育ち。海外取引メインの商社マン、外資系マーケティング、ライセンス会社などを経て、現在は東京都内にビル、マンション、アパート、コインパーキングなど複数保有する不動産ビジネスのオーナー経営者(創業者)。ネイティヴによる英語スクールの共同経営者、地元の区の「ビジネス相談員」、企業顧問なども行う。
福留正明
公認会計士/税理士/行政書士
2004年、監査法人トーマツに入所し公認会計士としてキャリアをスタート。その後、税理士資格を取得し、辻・本郷税理士法人にて税理士として相続税専門部署に従事。2008年に税理士法人チェスターの代表社員に就任。以降、累計1,000件以上の相続税業務を手掛ける。
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