家(戸建て住宅)を売却しようと思ったら、まず自分の住んでいる家がいくらで売れるかを不動産仲介会社に調べてもらいますが、これを「査定」と言います。この査定によって売出価格が変わってくるので、家の売却において査定という手続きは非常に重要です。
ここでは、家の査定の種類やそれぞれのメリット・デメリット、査定の方法、計算式、査定に必要な準備、査定を依頼する際の注意点などについて解説します。
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に一括査定依頼ができる不動産一括査定サイトです。
家の査定には大きく分けて以下の2種類があります。
以下より、この2種類の概要とメリット・デメリットを解説します。家の査定とはどのようなものか知っておきましょう。
※これらの査定は基本的に無料ですが、不動産鑑定士に有料で鑑定評価を依頼することもできます。ただ、一般的な家の売却は無料査定で充分です。
簡易査定とは、周辺で実際に成約した事例をもとに査定価格を算出する方法であり、物件を見学する前に「机上」で行う査定です。この点は、事前に認識しておくことをおすすめします。
簡易査定は、物件の築年数や広さなどのほかに、住所や個人情報(電話番号やメールアドレスなど)を不動産仲介会社へ伝えます。一般的にはインターネットで査定を依頼しますが、電話やメール、直接店舗へ行って依頼することも可能です。
ただ、インターネットで一括査定したほうが手間はかからないので、現在は「簡易査定=ネット査定」という認識が広がっています。
インターネット上で物件の詳細情報や個人情報を入力すると、査定依頼が可能な不動産仲介会社がピックアップされます。そしてその中から、査定を依頼する不動産仲介会社を選択する、という流れです。
簡易査定を行うメリットは以下のような点です。
住所などの詳細情報を伝えているので、匿名の簡易査定よりも精度が高くなります。また、不動産仲介会社から個別に連絡がくるため、「査定価格の根拠」などの詳細情報もヒアリングすることができます。
多くの不動産仲介会社からは数日から一週間ほどで返答があるので、訪問査定と比べると早い段階で返答がもらえる点もメリットです。
一方、簡易査定には以下のようなデメリットもあります。
仮に5社に査定依頼した場合、5社から個別に連絡がくるので、匿名での簡易査定に比べると対応する手間がかかります。電話が面倒であれば査定依頼をするときの備考欄に「連絡はメールで」などと指定しておきましょう。
なお、不動産仲介会社を選ぶときは、個人情報保護がきちんとしているかどうかを確認することをおすすめします。
つづいて、訪問査定について解説します。一般的には簡易査定を行った後に訪問査定を依頼するという流れですが、簡易査定を行わずに訪問査定から依頼することが可能な不動産仲介会社もあります。以下より、訪問査定の概要とメリット・デメリットを確認していきましょう。
訪問査定は、実際に家を現地調査してから価格を算出する査定方法です。営業担当者は、家に訪問して以下のポイントをチェックします。
実際に物件状況やその周辺環境を鑑みて、簡易査定で算出した査定価格を調整するのが、訪問査定の役割です。
実際に不動産の売却を行う場合、必ず詳細査定を行わなければならないので、売却の意志が固い場合ははじめから詳細査定を行うと手間が減り、売却活動がスムーズに進みます。
訪問査定のメリットは、詳細な金額を知ることができる点です。簡易査定は物件を見る前の査定価格なので、暫定的なものになります。一方、訪問査定では実際に家を確認したうえで査定価格を出しますので、売出価格を実際に成約できる価格に設定しやすくなります。
また、実際に査定に来た不動産仲介会社の担当者と会うことで、あらかじめ担当者の人となりを見極めることができます。
訪問査定のデメリットは手間がかかる点です。訪問に立ち会う必要があるので、日程調整が必要になります。
また、立ち会いには1時間程かかります。媒介契約を交わすとなれば2~3時間程度かかる場合もあります。このように時間を調整する手間がかかる点が、訪問査定のデメリットです。
家の価格を評価・査定する方法には、取引事例比較法、原価法、収益還元法の3つの方法があります。それぞれについて、解説します。
取引事例比較法は、対象の家と条件が近い物件の取引事例を収集し、必要に応じて対象物件の事情補正や時点修正を行って地域要件や個別的要件を含めて比較評価することによって資産価格を求める方法です。
事情補正とは、何らかの特殊な事情によって価格が増減した場合を考慮して適正な補正を行うことを指します。例えば、相続や転勤などにより売主様が売り急いだ事例の場合は、成約価格が低めになるなどです。
時点修正とは、取引時から価格時点までの価格変動を修正することを言います。
また、地域要因とは、その地域に属する不動産の価格形成に全般的に影響を与える要因を指します。例えば、その地域の街並みや街路の幅員などが該当します。
評価する不動産仲介会社により差は生じますが、マンションや戸建て住宅で多く行われています。ただし、不動産取引が極めて乏しい地域の不動産や、取引が極めて少ない神社・仏閣などの不動産、学校・公園などの公共公益不動産には適用できません。
原価法とは、現在建っている家をない状態と仮定して、同じ家を建て直したと仮定した場合いくらかかるかという再調達原価を割り出し、次に建築後の経過年数による価値の低下を割り引いて(原価修正)、現在の価値を推定する方法です。
計算式は以下のとおりです。
建物評価額=再調達価格×建物面積×残存耐用年数÷法定耐用年数
基本的には、戸建て住宅の建物部分の査定価格を算出する場合に採用される方法です。なお、耐用年数は法律で構造ごとに以下のように決められています。
再調達原価とは、対象の建物と同等の建物を建築する場合にかかる費用のことです。建物構造ごとに1平方メートル当たりの建築単価が定まっていて、その建築単価に床面積を掛ければ算出できます。再調達価格は、金融機関や不動産仲介会社によって基準が異なります。国税庁では以下を参考値としています。
構造 | 木造 | 鉄筋鉄骨コンクリート造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 |
---|---|---|---|---|
再調達価格 (全国平均) |
17.3万円/平方メートル | 28.4万円/平方メートル | 26.5万円/平方メートル | 25.6万円/平方メートル |
再調達原価は新築した場合の価格ですが、対象物件の築年数などに応じた劣化具合などに応じた額を差し引くことを減価修正と言います。不動産ではさまざまな要因により価値が低下するので、低下した分を修正する減価修正を行います。減価修正には、耐用年数を用いる方法と目視で劣化具合を確認する観察原価法があり、通常は併用されます。
収益還元法は、対象不動産が将来生み出すと予測される収益の現在価値の総和を求めて、対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法です。試算価格を求めるには、「直接還元法」と「DCF法」の2つの方法があります。
この方法は賃貸用不動産や賃貸以外の事業用不動産などの収益物件の査定に用いられることが多いですが、マイホームの査定でも使われることがあります。
直接還元法は1年間の純収益を還元利回りで割り、100を掛けて収益還元価格を求める方法です。例えば、還元利回りが4%、年間の収益が100万円、年間の維持管理費や修繕費などが20万円の場合、資産価格は(1,000,000円-200,000円)÷0.04=20,000,000円となります。
DCF法は「Discounted Cash-Flow」の略で、対象不動産の保有期間中に得られる純利益と期間満了後の売却によって得られると予測される価格を現在価格に割り戻して合計する方法です。
例えば、現在100万円を持っていて、年利10%で運用できた場合1年後の価値は110万円になります。この場合、現在の100万円と将来の110万円は等価となり、将来の110万円を現在の100万円に直すことを割り戻すといいます。これがDCF法の基本的な考え方になります。
この方法は、とくに不動産投資信託において広く使われています。
家を査定する方法をお分かりいただけたでしょうか。次は、査定するときに必要な準備について解説します。
住宅ローンの残債がある場合は、基本的に完済する前提で家を売却します。残債があるということは、金融機関が抵当権を設定しているということ。抵当権を抹消するためには、基本的に住宅ローンの完済が条件となります。
抵当権とは、もし住宅ローンの支払いが滞ったり支払いが行えない状態になったりした場合に、金融機関がその家を処分(競売にかけるなど)できる権利です。
抵当権を設定したまま家を売却することは不可能ではありません。ただ、抵当権を設定したまま売却するということは、買主様は「前所有者が住宅ローンの支払いができなければ、家が勝手に処分されるかもしれない」というリスクを負うということでもあります。
買主様に大きなリスクがあるので、一般的には抵当権を抹消することを前提に家を売却します。
1,000万円単位で残債がある場合は、手持ち資金だけで完済することは難しいケースが多くなると思います。そのため「家の売却金額」を返済に充て、足りなければ手持ち資金から捻出するのが一般的です。
したがって家の売却前には住宅ローン残債を確認しておき、その金額も参考に「売出価格」を設定する必要が出てきます。なお、抵当権については「抵当権(担保)のついている不動産を売却する方法」をご確認ください。
次に、査定時の必要書類について解説します。簡易査定をする場合、土地面積や建物面積、築年数などの情報があれば書類は不要ですが、売却を進めるとなると詳細査定を行うことになります。その際は以下のような書類が必要です。
マンションを売る場合と戸建てを売る場合で必要となる書類は異なります。今回は戸建ての売却を想定しています。なお、必要書類の詳細は「家を売るときに必要になる17種類の書類をすべて紹介」をご確認ください。
詳しくは以下のページをご確認ください。
その不動産を所有していることを証明する資料です。従来(2005年以前)は登記済権利証という文字どおり「権利を証する文面」でしたが、2005年の不動産登記法全面改正によって登記識別情報となり、「英数字の組み合わせ」へと変更されています。
本人確認書類とは、運転免許証や保険証などのことです。
登記簿謄本は、法務局で管理してある所有者や面積などの不動産情報が記載された書類です。手元になければ法務局で取得することができます。不動産仲介会社も独自に取得しています。手元にない際はまず、不動産仲介会社に相談してみましょう。
固定資産税評価証明書は、その家の固定資産(税)評価額が分かる書類です。こちらは毎年5~6月に郵送されてくる「固定資産税・都市計画税課税明細書」で代用するケースが一般的です。仮に紛失した場合は、評価証明書を取得しましょう。
設計図書とは、家の詳細な設計書のこと。家の引渡しを受けたときに前所有者や不動産仲介会社から引き継いでいるものです。
もし紛失してしまったのであれば、中古で購入した場合は仲介してくれた不動産仲介会社に、新築で購入した場合は売主様である不動産仲介会社に問い合わせてみましょう。
検査済証や確認済証とは、建物が建築基準法などの関係法規に準じて建築されたことを証明する書類です。こちらも引渡し時に取得するものです。もし紛失していたら役所に問い合わせてみましょう。役所の建築指導課などで「台帳記載事項証明書」を発行して代用できます。
戸建ての場合は土地の価値が大きいので、正確な面積を計測した実測図は重要です。引渡し時に取得していますが、手元になければ購入時の不動産仲介会社に確認しましょう。また、法務局で取得できる「地積測量図」でも代用可能な場合があります。
ただ、地積測量図の測量日が古い場合は再度測量が必要なこともあります。これは実測図にも同じことがいえます。測量し直すかどうかの判断は不動産仲介会社と相談しながら進めましょう。
隣地や道路との境界が記された資料も必要です。実測図も兼ねる「確定測量図」が手元にあれば実測図は不要。確定測量図のみで問題ありません(確定測量図は隣地や道路との境界の確認ができている測量図だからです)。
境界確認ができない場合は確定測量図が必要です。不動産仲介会社に相談し、測量してもらいましょう。
住宅ローンの支払い予定が書かれている表です。これを確認することで、住宅ローンの返済計画のすべてを確認することができます。
査定前に売主様自身で不動産の相場調査をしておくと、不動産仲介会社の査定価格を見極めやすくなります。相場調査する場合には「すまいValue」のサイトにある「エリア別の『売却・査定』のページ」を利用すると便利です。
サイトでは「区・市」などの広いエリアではありますが、相場価格がすぐに表示されます。また、売出物件も確認できるので参考になると思います。ただ、おおよその相場価格ですので、最終的には不動産仲介会社への査定依頼が必要になります。
家の査定にかかる期間は以下のとおりです。
不動産仲介会社によって査定期間は変わります。簡易査定を重ねても、不動産仲介会社と媒介契約を結ぶ際には詳細査定を行う必要があります。
次に、詳細査定時のアピールポイントを解説します。営業担当者が気づきにくい、実際に住んでいる売主様にしか分からないメリットを伝えることで、査定のプラスポイントとなります。
具体的には以下の点を伝えましょう。
アピールポイントの詳細については「家を売るときに損をしない!【家の売却・査定】5つのポイント」をご確認ください。
周辺環境とは、商業施設・医療施設・学校など生活に関連する施設の有無を指します。その施設への距離はもちろん、「大きな歩道を通って行くことができる」「この医院は小児科の評判が良い」などの情報を付け加えましょう。営業担当者のセールストークにつながります。
戸建ての場合は、シロアリ予防や外壁の塗装などを定期的に行っているケースがあります。建物の維持管理においてプラスの材料になるので、不動産仲介会社に伝えましょう。
施工したときに説明資料や工事完了資料などをもらっていると思います。そちらを不動産仲介会社に渡せばOKです。
日当たりや通気性の良さは「室内の快適さ」に直結します。南向きであれば日当たりが、角部屋であれば通気性が良いでしょう。目の前に建物があるかどうかなどは日当たりや通気性に関係します。実際に住んで気づいた快適さを営業担当者に伝えておきましょう。
一戸建てならではですが、「庭」や「ガレージ」がついている場合はアピールすることができます。樹木の手入れが行き届いていたり、ガレージに防音設備があり特殊な仕様になっていたりする場合は、プラスになる可能性があります。
過去にリフォームしたことがある場合は、リフォーム工事に関する資料を営業担当者に渡しましょう。リフォームの内容にもよりますが、基本的にプラスになります。
※リフォーム後、査定価格がどれほど上がるか分からないので、査定価格を上げるためのリフォームを行う必要はありません。
家の査定(訪問査定)を不動産仲介会社に依頼する際の注意点について、以下に解説します。
1つ目の注意点は、複数の不動産仲介会社に査定を依頼するという点です。査定価格は不動産仲介会社が予想した売却価格ですので、その価格での売却が保証されたものではありません。不動産仲介会社によって査定価格やその根拠は異なるため、場合によっては、数百万円も差がつくことがあります。1社だけに査定依頼をすると、その査定価格の妥当性が判断できません。複数社に査定を依頼して、査定価格とその根拠を比較することが大切です。
2つ目の注意点は、査定価格が高すぎるときは注意が必要という点です。競合他社よりも高い査定価格を出して、媒介契約を結ぼうとする会社もあります。実際には査定価格を大幅に値下げして売却するという悪質な会社にはだまされないように、査定価格が飛び抜けて高い場合、その根拠を確認するようにしましょう。
3つ目の注意点は、不動産仲介会社に査定を依頼するときに、売主の希望をきちんと伝えるようにすることです。例えば、「いつまでに売却してほしい」「いくらで売却してほしい」など売却時期と売却価格の希望をきちんと伝えることは重要です。その他に、近所の方には知られたくないので広告はしないでほしいなど、希望の条件などがあれば、不動産仲介会社にきちんと伝えるようにしましょう。
4つ目の注意点は、瑕疵など物件に不具合があれば、隠したりしないで不動産仲介会社に正直に伝えることです。
瑕疵には以下の4種類があります。
以上のような瑕疵に関して、売主様は契約不適合責任を負い、売却後に瑕疵が発見された場合、該当箇所の補修費用や損害賠償を求められたり、売買契約が解除される可能性があるので注意が必要です。
逆に建物の価値を上げるリフォーム・修繕をしていれば、セールスポイントになるのできちんと伝えるようにしましょう。
まずは査定の種類や算出方法、注意点などを理解しましょう。そのうえで家の売却を検討しているなら、信頼できる不動産仲介会社を選ぶことが重要になります。そのような不動産仲介会社を見つけるために「すまいValue」を活用して、複数社へ査定を依頼してみてはいかがでしょうか。
中村 昌弘
宅地建物取引士
都内大学を卒業後に新卒で上場ディベロッパーに就職。マンションの販売・企画・仲介などを経て2016年に独立。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。
酒向 潤一郎
税理士
J’sパートナー総合会計事務所(酒向潤一郎税理士事務所)にて、税理士として会計事務所の経営を行う一方で、一部上場IT企業の幹部や投資会社の監査役などを務める複業税理士。最近では開業・副業コンサルに注力。会計専門誌などにも複数寄稿している。
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