自宅の売却は人生の中で何度もあるものではありません。そのためわからないことや戸惑う場面に直面することがたびたびあります。
マンションをはじめとする不動産全般の売却には大きな金額が動くので失敗するわけにはいきません。売却を成功させるには、売主様が不動産売買に関する基礎的な知識を身につけておく必要があります。
昨今では、インターネットを通じて、マンション売却の準備に必要な情報を手軽に収集できますが、マンション売却の希望条件が異なれば、必要な知識や準備も異なります。
自分が希望する売却ができるように準備して臨まないと、思わぬ失敗につながることもあります。
失敗例を見ながら注意すべきポイントを確認していきましょう。
マンション売却では、売却前、売却中、売却後のそれぞれのステップで注意するポイントがあります。
ここでは各ステップに分けて、よくある失敗例を解説します。まずは売却前の失敗例から見ていきましょう。
マンションを売却する際、まずは不動産仲介会社へ査定を依頼します。
査定価格は不動産仲介会社により異なるので、1社のみに限定すると判断を間違える可能性が高くなります。
査定には、査定額を知るとともに売却を依頼する不動産会社を見つけるという目的があり、相場を正確に把握し、不動産仲介会社の対応の仕方をつかむためにも、複数の会社に査定を依頼することが大切です。
時間に余裕がない状態で不動産の売却を進めると、失敗することがあります。
一般的にマンションは、戸建て住宅や土地よりは売却期間が短いとされていますが、3~6ヶ月は必要です。販売活動に時間がかかるうえ、書類の準備にも時間がかかります。
売却のための時間に余裕がないと、売り急いで相場より低い価格になってしまうことがあります。計画を立て、早めに準備することが重要です。
複数社の不動産仲介会社に査定を依頼しても、査定額が最も高いということだけで不動産仲介会社を選ぶと失敗のリスクが高まります。査定額=成約価格とはなりません。相場を大きく上回る査定額の場合、売却が難しくなる場合があるからです。
仲介会社によっては、高い査定額を提示することで媒介契約を取ろうとする会社があるので注意が必要です。査定額の根拠やその地域の相場などをしっかり確認したうえで、仲介会社を決めるようにしましょう。
マンションの売出価格は売主が決めることができますが、相場を大きく上回る価格で売り出すと、買主様が見つからず、売れ残る可能性が高まります。
売出価格と成約価格は約10%の乖離があり、売出価格よりそれだけ低い価格で取引されているので、それを踏まえた価格設定をするとよいでしょう。
住宅ローンの残債を把握しておかないと、資金計画を立てることができません。住宅ローン残債がある場合、自宅を売却した代金で一括返済を行いますが、売却代金がローン残高を下回る場合、自己資金で補填しないといけません。
それも難しい場合は、住み替えローンを申し込むことになります。住み替えローンは月々の支払い額も大きく審査が厳しいので、準備段階で金融機関に確認する必要があります。マンション売却には、余裕を持った資金計画を立てるようにしましょう。
マンションの売却でよくある失敗事例のうち、次は売却活動中の失敗例を見ていきましょう。
マンションの売却には「売りやすい時期」と「売りにくい時期」があります。マンション価格は景気動向と強い相関関係にあるので、景気が最も良いときに売り出すのがベストですが、売るタイミングを見極めるのは極めて難しいと言えます。
建築費や地価、マンションの価格市場、住宅ローン金利の相場などを参考にするとよいでしょう。
季節によってもマンションが「売りやすい時期」と「売りにくい時期」があります。「売りにくい時期」に売りに出すと売れ残る可能性があるので、売出時期を見極めることが重要です。
「売りやすい時期」は1~3月で、新年度にあわせて入居希望が多くなるためです。
反対に「売りにくい時期」は、新年度がスタートした後の住み替えの需要が下がる時期や、内覧希望者が少なくなるお盆や年末年始などの時期などです。
売出時期を見極めるには、すでに売りに出ている競合物件や、売りたいマンションの周辺環境、その時期の社会情勢など、アンテナを幅広く張る必要があります。
買主様にとって、内覧は物件の雰囲気をつかむ大事なイベントです。内覧時の部屋の第一印象は、買主様の購入意思を大きく左右しますので、不動産仲介会社から内覧の連絡が入ったら、準備をしておきましょう。
とくに水回りなどの清掃を怠ると、築年数以上に経年変化を感じてしまうものです。整理整頓、清掃をきちんと行うことが大事です。お金をかけてハウスクリーニングまでするかどうかは、不動産仲介会社と相談して決めるとよいでしょう。
売却活動を不動産仲介会社に任せきりにしていると、仲介会社の担当者と良好なコミュニケーションがとれず、売却活動がうまくいかないことがあります。不動産仲介会社の担当者は複数の物件を担当しているケースが多く、良好な関係を築けていないと対応が疎かになる可能性があります。
そのため、仲介を依頼した不動産仲介会社の担当者とは早い段階から密にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことを意識しましょう。
また、専任媒介、専属専任媒介の場合は不動産仲介会社からは定期的に業務報告を受けますが、不動産仲介会社の働きが首尾よく行っていないと売却活動が進んでいないということがあります。
売主様自身も売却活動に主体的に取り組むことが大事になります。
買主様が見つかり手付金を受領しても、金融機関の住宅ローン審査に通らず「ローン特約」によって契約解除になることがあります。ローン特約は買主様を保護するために付けられるのが一般的で、この場合は手付金を買主様に返す必要があります。
売主様には落ち度はないのですが、このようなことも想定して、買主様に買付申し込み段階でローンの仮審査を受けてもらうなどの対策を講じる必要があります。
売却活動を行っても買主様が見つからない場合、不動産仲介会社を変更した方がよい場合もあります。
内覧希望者が少ない場合、原因として売出価格が高いことや積極的な売却活動がされていない可能性が疑われます。
不動産仲介業者との契約期間は専任媒介、専属専任媒介なら3ヶ月が基本なので、期間が終了したら契約を解除して、他の不動産仲介会社に乗り換える方がよいでしょう。
次に、マンション売却後によくある失敗例について見ていきましょう。
不動産売買契約において、売却物件が契約内容に合っていない場合に買主様から売主に対して「契約不適合責任」が問われます。2020年の民法改正前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたもので、品質・種類・量・数などで不動産を売却した者が負う責任のことです。
このため売主様は、売却するマンションがどのようなものかを把握しておくことが重要です。売却するマンションの状況や契約条件は売買契約書に記入しますが、その内容がマンションの状況と異なっていると契約不適合責任を問われます。
売却するマンションに対して、引渡し後に無限の責任を負うことは不可能なので、実務上は不動産売買契約の特約で容認事項を記入します。あわせて物件状況等報告書、付帯設備表も用意します。物件状況等報告書や付帯設備表の作成には時間がかかるので、早めに準備します。
これらの書類の作成に当たっては、不動産仲介会社と認識にずれがないように、協力し合って綿密に確認することが大切です。
マンションなど不動産を売却すると大きな金額が動きます。損をしないためにも、税金についての知識をつけておくことも重要です。
不動産の売却によって売却益(譲渡所得)が生じたときは、確定申告を行い所得税・住民税等を納税する必要があります。ここで対応を間違えると、税金額に大きく差が出てしまいます。
譲渡所得は譲渡収入金額からマンションを購入するときにかかった費用である取得費を差し引いて求めます。取得費には、マンションの購入代金から建物にかかる減価償却費を差し引いた額、購入時にかかった税金、仲介手数料、リフォーム費、住宅ローンの利息などがあり、これを確定させておかないと差し引く額が小さくなり、結果として譲渡所得が大きくなってしまうことになります。
売買契約書などを紛失した場合など購入費が不明なときは、概算取得費は譲渡収入金額の5%となってしまうので、マンションの取得関連の書類は大切に保管しておきましょう。
また、マンション購入後、5年以内に売却した場合と、5年を過ぎてから売却した場合では、譲渡所得(マンション売却で得た利益)に課せられる所得税・住民税の税率に大きな差があります。譲渡所得税を抑えるために、一般的には「マンション購入後、5年以内に売却しないほうがいい」とされています。
なお、マイホームの譲渡所得の場合、3,000万円以下には税金がかからないという特別控除・特例もあるので、忘れないようにしましょう。
譲渡損失があった場合は、一定の要件のもとでは他の所得と損益通算ができます。必ず確定申告をしましょう。
マンション売却の成否は、売却をサポートする不動産仲介会社の力量に左右されるといっても過言ではありません。そのため不動産仲介会社選びが重要になります。
不動産仲介会社には、それぞれ得意分野や販売実績など特徴があるので、信頼できる不動産仲介会社を選ぶことが成功への近道になります。
そこで、不動産仲介会社を選ぶポイントについて見ていきましょう。
物件販売実績は、何よりも信頼できる不動産仲介会社であることの証拠になります。販売実績はインターネットなどで調べるか、直接担当者に聞いてみるとよいでしょう。
店舗数の多い大手不動産仲介会社は広告戦略に強く、自社の顧客情報ネットワークも強固なので、販売実績も確かなことが多いと言えます。
会社がしっかりしていたとしても、営業担当者が信頼できなかったらマンションの売却はうまくいきません。そのため、信頼できる担当者かどうかを見極めることが重要になります。
そのポイントは以下の通りです。
このほか必須ではありませんが、宅地建物取引士の資格を有していると安心です。
マンションの売却にあたって、売却前、売却中、売却後のそれぞれの場面での失敗事例を見てきました。失敗事例を踏まえていると、自分の取引のときに気をつけるべき点が見えてくるので安心です。
その中でもっとも重要なポイントは、信頼できる不動産仲介会社を味方にできるかどうかです。
不動産仲介会社のアドバイスやサポートが、売却をスムーズに進めるカギとなるからです。
マンション売却の成否は、不動産仲介会社選びで決まるといっても過言ではありません。
多くの不動産仲介会社から信頼のおける会社を探すなら、日本を代表する大手6社が運営する不動産一括査定サイトのすまいValueがおすすめです。大手とつながるすまいValueをぜひご活用ください。
宮本弘幸
宅地建物取引士
1960年石川県加賀市生まれ。大学卒業後、大手ハウスメーカーの営業として20年勤務した後、地元、金沢小松、加賀で不動産・住宅の営業に携わる。2016年より、石川県小松市にて、株式会社みやもと不動産を開業。お客様のニーズをよく共有し、最適な提案を行う営業スタイルで、お客様に愛される不動産業を心がけている。宅地建物取引士のほか、ファイナンシャルプランナー(AFP)、相続診断士などの資格を保有。
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