売却する不動産の価格相場を知りたいとき、「不動産仲介会社のつけた査定価格をインターネットで知ることはできないだろうか」と考えた方もいるでしょう。
ネット上には、一度の申し込みで複数の不動産仲介会社に価格査定を依頼できるサービスがあります。それは「不動産一括査定サイト」と呼ばれます。
不動産一括査定サイトで展開しているサービス内容や仕組み、さらにサービスを無料で受けられる理由について見ていきましょう。
不動産一括査定サービスは、売主様がWebサイトをつうじて価格査定を依頼すると、登録している不動産仲介会社の中でマッチングが行われ、条件に合った不動産仲介会社から無料で査定価格が届くという仕組みです。
売主様は査定価格の妥当性のほか不動産仲介会社との相性や信頼性に基づき、媒介契約に進んで売却活動を始めるかどうかを判断します。
サイトに登録している不動産仲介会社は、さまざまあり、不動産の種類やエリアなど得意分野も異なります。
不動産一括査定サイトは、無料で利用できます。不動産一括査定サイトの運営には不動産仲介会社が費用を負担しているため、売主様から利用料を取る必要がないのです。
売主様が費用を支払うのは、マッチングした不動産仲介会社と媒介契約を結んで売却活動を行い、買主様が見つかって売買契約を交わしたタイミングです。それまでは一切、費用を支払うことはありません。
不動産一括査定サービスには、利用するメリットとデメリットがあります。メリットを生かし、デメリットには可能なかぎり対策を打つことで、不動産の売却活動を成功につなげられる可能性が高まります。それぞれ見ていきましょう。
不動産一括査定サービスを利用するメリットとしては、主に以下の4つがあります。
不動産仲介会社に物件の査定依頼をするには本来、数時間を費やして不動産会社を訪問しなければなりません。しかし、不動産一括査定サイトを利用すれば、1回の情報送信で複数の不動産仲介会社に同時に査定を依頼することができます。必要書類を用意しておけば、物件情報の入力は最短60秒ですみます。
また、査定価格については、不動産仲介会社によって査定方法や重視するポイントが異なるため、1社の査定では妥当かどうか判断するのは難しいといえます。しかし、不動産一括査定サイトを利用すれば、複数社の査定結果を比較できるため、相場をつかむことができます。
不動産仲介会社をつうじて物件を売却する場合、仲介手数料や税金、登記費用や引越し費用などさまざまな費用がかかります。これを諸費用と呼び、総額の目安として売却価格の5%前後とされています。
諸費用は現金で用意することが普通ですが、売却価格が3,000万円だと150万円前後にのぼるなど、まとまった金額となります。査定価格は売却価格と必ずしも同一ではありませんが、大まかな売却金額が分かることで、諸費用として準備するべきおよその金額が把握できます。
不動産一括査定サイトの中には、大手の不動産会社が共同出資して運営したり、登録している不動産仲介会社を大手に限定したりしているところもあります。
不動産を売るには買主様探しや価格交渉など、担当者には専門知識だけでなく人間力や営業力が問われる場面が多くあります。売却できるまでにかかる期間や成約価格は会社や担当者の力量によって左右されることが多いといえるでしょう。
大手の不動産仲介会社に査定依頼し、その後の売却活動を任せれば、なにかと安心できるという方も多いかもしれません。
売却したい物件の相場をつかめるだけでも、大きな収穫です。それが完全無料で入手できるというのはメリットといえるでしょう。
一方、不動産一括査定サービスを利用することによって、生まれるデメリットもあります。主な4つを解説します。
不動産一括査定サイトでマッチングした不動産仲介会社によっては、電話連絡をしてくる不動産仲介会社もあります。電話対応が難しいタイミングでかかってくることもあり、わずらわしいと感じる方もいるかもしれません。また、人気エリアの物件だと多数の不動産仲介会社から同時期に何度も電話がかかってくる可能性もあります。
対策として、査定依頼の際に「連絡はメールでお願いします」と要望を伝えておけばいいでしょう。
前述のように価格査定は各社で異なるため、不動産仲介会社によって出してくる金額には当然、ばらつきが出ることがあります。あまりにバラバラだと、どれを信じたらいいのか分からなくなるという方もいるかもしれません。
どの不動産仲介会社の提案を信じたらいいのか分からないときは、まず各社に査定額の根拠を確認してみましょう。査定価格が高い場合、その根拠を明確に説明できない不動産仲介会社には注意したほうがいいかもしれません。
大手不動産仲介会社を希望していても、不動産一括査定サイトによっては中堅以下の不動産仲介会社しか対応しないものもあります。利用しようとしている不動産一括査定サイトにどんな不動産仲介会社が登録しているのか、事前によく確認しましょう。
不動産一括査定サイトには個性があり、エリアや不動産の種別で得手不得手があります。売却したい物件があるエリアで強い営業力のある不動産仲介会社が登録しているか、査定価格を出してきた不動産仲介会社が売りたい不動産の種類に強みを持っているかを確認しましょう。
以上、メリットとデメリットを紹介してきましたが、不動産一括査定サイトを利用するにあたり、知っておきたい注意点を解説します。
不動産一括査定サイトをつうじてマッチングした不動産仲介会社が提示する簡易査定の査定価格は、実際に不動産を見て調べたわけではなく、築年数や立地、周辺の類似物件の市場データに基づいて算出した価格です。
査定価格に基づいて売出価格を決めても、成約価格はそこからさらに、売却期間の長短を加味し、買主様との価格交渉の末に決まります。最初に提示された査定額は最終的な売却価格と異なる可能性が高いということを理解しておきましょう。
前述したように、不動産一括査定サイトに登録している不動産仲介会社が提示する査定価格は成約を約束した価格ではありません。
売主様の気持ちとしては、最も高い査定価格を提示してくれた不動産仲介会社を選びたくなりがちですが、市場価格に見合わない価格で売出すと、いつまでたっても売れずに結局、値下げを迫られることになるでしょう。必ず複数社に査定価格を出してもらい、相場を見極めましょう。
すでに意中の不動産仲介会社があっても、利用した不動産一括査定サイトに登録されていないことがあります。仲介を依頼したい不動産仲介会社が登録されているかを事前に確認しましょう。
前述のように、簡易査定(机上査定)より正確な価格を求めるなら、訪問査定で不動産仲介会社の担当者が実際に物件を訪問して日当たりや周辺環境、建物の劣化具合など個別事情をチェックし、それらを加味したうえで価格を出す必要があります。
ただし、不動産仲介会社と日程調整や訪問対応が必要となります。
不動産一括査定サイトは、売却を検討している物件の相場を無料で知ることができるのが共通点ですが、現在、不動産一括査定サイトは複数のサイトがあり、どれを選べばいいのか困っているという方も多いのではないでしょうか。どのように選べばいいのか、解説します。
まずは、売却しようとしている物件がある場所を、利用しようとしている不動産一括査定サイトが対象エリアとしているかを見ましょう。首都圏や地方の大都市ならば不動産仲介会社も多いのでどの不動産一括査定サイトを利用しても問題はないことのほうが多いのですが、地方の場合だと、サイトによっては査定の対象外である可能性があります。
その場合、全国をカバーしている不動産仲介会社が登録されている不動産一括査定サイトを選ぶようにすれば安心です。
マンション、戸建て、土地…。不動産の種類はさまざまあり、不動産一括査定サイトによっては扱っていない種類もあります。マンションや戸建ては多くの不動産一括査定サイトが扱っていますが、その他の不動産を売却する場合は査定依頼の対象となっているかを確認しましょう。
不動産仲介会社は大手がいいという方もいれば、中小でも地域に根を張ったところがいいという方もいるでしょう。登録している会社の名前や規模をよく確認して選びましょう。
以上、不動産一括サイトのメリットとデメリット、利用上の注意点を解説してきましたが、不動産一括査定サイトの利用の仕方を具体的に解説します。
不動産一括査定サイトを立ち上げ、査定を依頼する物件の情報を入力します。サイトによって多少の違いがありますが、求められる入力必須の項目としてはだいたい以下のようなものがあります。
次に売主様の個人情報を入力します。
物件情報と個人情報の入力が完了すると、条件に当てはまる不動産仲介会社が表示されます(※すまいValueの場合。利用する一括査定サイトにより異なる)。
表示された不動産仲介会社の中から、査定を依頼する会社を複数社、選びます。複数社へ依頼することで相場の比較がしやすくなる一方、物件によっては営業電話がかかってくる数が多くなるということは覚えておきましょう。
査定方法は、まずは机上査定にしておくほうが無難でしょう。査定価格が数日から1週間程度で提示されますし、連絡方法はメールや電話になります。訪問査定だと、不動産仲介会社と日時のアポを取ったり訪問対応をしたりしないといけなくなるので、依頼するのは机上査定による価格を比較してからでも遅くないでしょう。査定の申し込みが完了したら、不動産仲介会社からの連絡を待ちます。
不動産仲介会社から連絡があるので、メールの文面や電話でのやりとりで信頼できる担当者かどうかを判断します。さらに不動産仲介会社をネットで調べて強みと弱みを十分に確認しましょう。その中から売却を任せてもいいと考えられる不動産仲介会社を複数社選び、訪問査定を依頼します。
訪問査定をしてもらった不動産仲介会社には、どのような売却プランがあるのかを説明してもらいましょう。その後もメールや電話でやりとりをする中で、担当者の人間性が信頼でき、売却プランがしっかりしていると感じた不動産仲介会社の中から媒介契約に進む会社を選びましょう。
媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。一般媒介契約は複数社締結可能ですが、専任媒介契約と専属専任媒介は1社に絞る必要があります。
不動産の売却活動を始めるに当たって、何から始めたらいいのか分からず、費用をはじめ、さまざまな不安を抱えている方も多いでしょう。まずはインターネットを使った査定依頼で相場を知ることから始めることをおすすめします。「すまいValue」なら、担当者の売却力が高く専門知識も豊富で安心の大手6社へまとめて査定依頼ができます。不動産売却を検討している方は、ぜひ「すまいValue」の一括査定を利用してみてはいかがでしょうか。
公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。
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