土地や戸建て住宅、マンションなどの不動産を売却する際に、その売却額がだいたいいくらくらいになるのか、不動産仲介会社が見込み額を算出することを不動産査定といいます。
査定は個別の物件ごとに行い、不動産仲介会社によっては、大きな価格差が出ることも珍しくありません。
私たちがふだん購入する一般的な商品は、同じものには同じ値段がつくという「一物一価の法則」が成り立ちます。しかし不動産はそうではありません。土地や戸建てはその場所にひとつしかありませんし、マンションは同じ間取りであったとしても部屋によって階数や日当たりが違うでしょう。このように不動産にはまったく同じものは存在していないため、個別の物件ごとにそれぞれの価格を査定する必要があるのです。
不動産は取引する時期(取引時点)によって、価格が大きく変動します。同じ不動産の価格が時期によって変わるため、手持ちの不動産を売却する際には不動産相場全体の動きも注視する必要があります。
不動産の査定方法には机上査定と訪問査定の2種類があります。一般的には簡易査定を経て、訪問査定を依頼します。それぞれについて見てみましょう。
机上査定ともいいます。現地を訪問することなく、物件情報、公示価格、周辺取引事例、市場動向など、様々なデータを元に考慮して机上で価格を算出する方法です。
簡易査定は現地を見ていないためあくまでも概算ですが「まだ売るかどうかは決めていないけれど、価格を知りたい」という場合や「複数の不動産会社の評価額を見比べたい」という場合におすすめの方法です。
詳細査定ともいいます。実際に不動産仲介会社の担当者が物件を訪問、現地の状況を確認して査定価格を出す査定方法です。
売却不動産の現状はもちろん、周囲の環境や交通事情、設備の状況、眺望など、実際に訪れてみないとわからないところまで考慮して算出するため、より正確な査定価格が算出できます。
物件を売却する場合は、必ず訪問査定を依頼します。
不動産価格の算出方法はひとつではなく、不動産の種類によってふさわしい算出方法を使用しています。
不動産価格を査定する際に用いられる、代表的な3つの算出方法をご紹介します。
不動産査定の基礎知識として、それぞれどのように査定額を算出しているのかを知っておきましょう。
売却予定の不動産と同等の条件を持つ不動産の取引事例とを比較し、売却査定価格を算出する手法です。土地や建物の条件だけでなく、エリアや時期など変動性のある条件も考慮して売却査定価格を算出します。マンションや土地の多くは、取引事例比較法を用いて査定されます。
売却予定の不動産を現時点で新たに建築した際にかかる価格(再調達原価)から、築年数による価値の減少分を差し引くことで売却査定価格を算出する方法です。建築費用には、建築資材などの材料費や労務費、土地造成費など、建築にかかるすべての費用が含まれます。取引事例比較法と併用されるケースも多く、戸建て住宅の査定で用いられることが多くあります。
売却予定の不動産(賃貸用)の収益性に応じて売却査定価格を算出する方法です。収益還元法には1年間の収益を投資利回り(還元利回り)で割る「直接還元法」と、将来的に得られる収益と予想成約価格を合計する「DCF法」があります。賃貸アパートやマンションなど、投資用の収益物件の売却査定で多く用いられます。
査定をスムーズに進め、さらに査定額を少しでもアップさせるために、売主様は不動産の査定を依頼する際に、どんな準備をしておけばいいのか迷うのではないでしょうか。大きく分けると以下の3つがあります。
それぞれについて解説します。
売却予定の不動産がいくらで売れるか、相場観がなければ査定額が妥当かどうかの判断がつきません。査定を依頼する前におおよその相場を把握しておきましょう。
レインズマーケットインフォメーション、土地総合情報システム、ポータルサイトなどを利用すれば調べることができます。
運営 | 得られる情報 | |
---|---|---|
レインズマーケットインフォメーション | 不動産流通機構 | データベースにある過去の成約事例 |
土地総合情報システム | 国土交通省 | アンケート結果に基づく実際に取引された不動産価格 |
住宅情報サイト | 民間会社 | データベースに基づく不動産相場と売出中の類似物件の価格 |
不動産一括査定サイト | 民間会社 | 登録している不動産仲介会社による査定価格 |
自分で調べた相場と、不動産仲介会社の査定額に大きな違いが出た場合は、なぜそうなるのか質問してみましょう。
査定を依頼する不動産が戸建て住宅やマンションの場合は修繕履歴やリフォームの報告書などを用意しておきます。
修繕履歴とは、定期的に行ったメンテナンスの履歴です。「シロアリ予防」「外壁塗装」などを行ってきた証拠にもなり、不動産仲介会社や買主様に対して、物件をきちんと維持管理してきたことのアピールにもなります。
土地、戸建て住宅を売却予定の場合は、土地の境界の確認をしておくことが必要です。境界があいまいだと正しい査定ができませんし、いざ売却する際にトラブルになりかねません。
「印象を良くして、査定額をアップしたい」という理由で、ハウスクリーニングを依頼して物件をプロの手でキレイにしてもらう売主様もいらっしゃいます。悪いことではありませんが、費用をかけて掃除しても、査定額に影響することはありません。
査定をする不動産仲介会社は、表面上のキレイさに左右されません。掃除は最低限、常識の範囲内でなされていれば、それ以上は必要ありません。
不動産の査定を依頼するとき、どんなことに気をつければいいのでしょうか。査定依頼で注意すべきポイントを解説します。
不動産の査定を頼んだからといって、必ずその不動産仲介会社に販売を依頼しなければならないというルールはありません。査定の依頼は1社だけでなく、必ず複数の不動産仲介会社に依頼しましょう。
不動産の査定価格は会社によって幅があることが多く、場合によっては数百万円の差がついてしまうことがあります。複数の不動産仲介会社からの評価を比べることで、売却する不動産の相場がより見えてきます。
複数の不動産仲介会社に査定を依頼して、実際に販売する際には、査定額、担当者の説明に一番納得のいく不動産仲介会社に依頼するのが、不動産売却の成功の秘訣です。
最初の段階ではサイトなどを活用して一括で査定を依頼するのがおすすめです。
少しでも査定額を高くしたいと、土地や建物のセールスポイントを伝える方は多いでしょう。良い面は積極的に伝えても、悪い面となると隠したくなるのが人情ですが、不動産のマイナス面を隠したまま査定を依頼するのはおすすめできません。
査定にマイナスになるような瑕疵(かし;傷や欠点のこと)の告知義務はありません。しかし販売後、売主様は民法で定められた「契約不適合責任」を負うことになります。
この「契約不適合責任」は、引き渡された物件に1年以内に大きな瑕疵が見つかった場合、買主様からの請求に応じて、売主様は損害賠償や修繕をしなければならないというものです。あまりにひどい場合は売買契約そのものが解除になることもあります。
トラブルを避けるためにも、査定時から正直に伝えることが大切です。
修繕履歴の記録、インスペクション(建物状況調査)の結果報告、住宅性能評価書などがあれば用意しておきましょう。
依頼を査定する際に、不動産仲介会社に、売却希望価格や希望時期を伝えましょう。「相続税の関係で売却を急ぎたい」「いつまでに売って欲しい」といった希望は、場合によっては売却価格よりも優先させることもあります。
そのほかにも
などの要望がある場合「こんなこと聞いていいのだろうか」「難しいかも知れない」と思っても、担当者に伝えましょう。考慮してもらえることがあります。
査定額が高い不動産仲介会社のほうがいい、と思いがちですが、そうとも限りません。不動産仲介業者の中には、売主様の「少しでも高く」という心理につけ込んで、実際の相場より高い価格で見積もりを出してくる不動産仲介会社もあります。
高く見積もってくれたとか売主様は喜びますが、あまりに値段が高すぎると買主様が見つかりません。販売時期を逃すだけでなく、値下げに次ぐ値下げで、結局、売主様の希望する時期よりも販売が遅れ、しかも当初の予定より大分安くなってしまったというケースもあります。
なぜその査定額となるのか、相場を把握した売主様が金額に納得した額であることが大切です。
不動産の査定は、前述したように複数の不動産仲介業者に依頼し、比較検討することが大切。
それには一括査定サイトの利用が便利です。なかでも大手不動産会社が運営しており、大手不動産会社6社に同時に査定依頼ができる「すまいValue」がおすすめです。
「不動産売却会社の選び方を徹底解説!選ぶポイントと注意点とは」
土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
田井 能久
不動産コンサルタント
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。
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