住宅ローンなどで購入資金の融資を受けた不動産は、通常、金融機関の抵当権(担保)が設定されています。不動産の売却ご事情はさまざまですが、いざ手放す時に「金融機関の抵当権(担保)がついたまま売却できるのか?」「住宅ローンが残ったまま売却する方法は?」といった不安を解消できるよう抵当権(担保)の考え方を理解しておきましょう。
今回は、金融機関の抵当権(担保)がついている不動産の売却方法や、売却する際の注意点について解説します。
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不動産における担保とは、金融機関から住宅ローンの融資を受けた際に、購入した不動産に対してかけられる保険のようなもので、「担保=抵当権」といいます。抵当権は、住宅ローンを完済することで抹消することが可能です。
金融機関は、不動産の購入資金を融資する代わりにその不動産へ抵当権を設定することで、住宅ローンの返済が滞った際に、不動産を競売にかける権利を確保し、万が一に備えています。これは滞っている住宅ローンの融資額を回収するための手段で、抵当権の実行と呼ばれています。
売却予定の不動産の現状を把握するためにも、次にご紹介する抵当権設定有無の確認方法を理解しておきましょう。
不動産の所有者が売主様ご本人の場合、その不動産に抵当権がついているかどうかは書類などを確認せずともご存知のことでしょう。しかし、ご家族から相続された不動産などにおいては、不動産の抵当権設定の有無を売却する前に必ず確認しておく必要があります。
不動産に抵当権がついているかどうかは、住宅ローン契約の際に扱う「金銭消費貸借兼抵当権設定契約書」または登記事項証明書(登記簿謄本)を確認しましょう。
金銭消費貸借兼抵当権設定契約書は、住宅ローンの融資を受けた借主や金融機関でそれぞれ保管されている書類です。同契約書上には、主に以下のような内容が明記されています。
<金銭消費貸借兼抵当権設定契約書に記載されている主な内容>
・第1条(金銭消費貸借契約) ・第2条(利息等) ・第3条(弁済) ・第4条(抵当権設定契約) ・第5条(抵当権設定登記手続) ・第6条(抵当物件の処分・変更の禁止) ・第7条(期限の利益の損失) ・第8条(合意管轄) ・第9条(協議) |
このうち、抵当権の有無が確認できる項目は第4条です。金額や返済期間については第1条、第2条、第3条を確認しましょう。また、金銭消費貸借兼抵当権設定契約書には必ず「甲(貸主)」と「乙(借主)」の記名があるため、住宅ローンの融資を受けている金融機関や債権者も同契約書類から確認できます。
一方、登記事項証明書は管轄の法務局で管理・保管されている書類で、旧名称を登記簿謄本と呼びます。取得方法は、以下の3通りです。
抵当権設定の有無については、登記事項証明書の「権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)」に記載された内容を確認してみましょう。抵当権の設定がある場合には、「権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)」には以下のような記載があります。
<権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)の記載例>
権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項) | |||
---|---|---|---|
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
1 | 抵当権設定 | 平成○○年○月○日 第○○○号 |
原因 平成〇〇年○月○日金銭消費貸借同日 設定 債権額 金○○○○万円 利息 年○○% 損害金 年○○% 債務者 住所 氏名 抵当権者 住所 金融会社名 支店名 共同担保 目録(あ)第○○○号 |
収入や環境の変化など、不動産を売却するご事情は人それぞれですが、抵当権がついたまま不動産売却を進めることは、結論から言えば可能です。
「できる・できない」で言えば「できる」といえる抵当権つきの不動産売却ですが、住宅ローンをどのように返済していくかなど、金融機関への打診や調整が必要になることを知っておきましょう。
買主様としては「買いにくい」、売主様としては「売りにくい」というイメージを持たれやすい住宅ローンが残ったままの不動産売買ですが、「売主様側に対して設定された抵当権については、買主様側に引き継がれることはない=抵当権つきの不動産でも売却可能」であることを前提として通常、売却手続きを進めます。
実務上、抵当権設定されている不動産を売却する場合の流れとしては、金銭的な余裕があれば、事前に住宅ローン残額を完済して抵当権抹消登記をするケース、また、不動産の売却代金を住宅ローンの残額の返済に充て、残金決済・物件引き渡し時期に抵当権抹消登記と買主様への所有権移転登記をおこなうケースが一般的です。なお、不動産の売却代金を住宅ローンの残額の返済に充てても住宅ローン残額に満たない場合には、不足する金額に自己資金を充当して抵当権を抹消することが必要です。
このような手続きを進める際には、不動産売却における手続きの進捗に合わせて金融機関への打診・調整が必要となってきますので、売却手続きが円滑に進められるよう不動産仲介会社の担当スタッフと相談しながら各種手続きをおこなっていきましょう。
既述したとおり不動産の売却代金を住宅ローンの残額の返済に充て、残金決済・物件引き渡し時期に抵当権抹消登記と買主様への所有権移転登記をおこなうケースの場合については、特段問題はありませんが、事前に住宅ローン残額を完済するケースや売却時に既に住宅ローンを完済しているケース、特に相続などで不動産を売却する際には、特に注意しましょう。
それは、住宅ローンの残額を金融機関に完済したとしても、登記事項証明書に記載されている抵当権設定の登記事項は自動で抹消されないためです。抵当権の抹消登記をおこなうには、司法書士へ依頼するか、もしくは金融機関から抵当権抹消に関わる必要書類を受領し、売主様自らが法務局で抵当権抹消登記手続きをおこなう必要があります。
金融機関や司法書士へ打診・調整をおこなうタイミングは、不動産仲介会社のスタッフに相談しながら進めていきましょう。
不動産売却で抵当権(担保)がついている物件の注意点とは?についてまとめてまいりました。
住宅ローンが残っている状態で不動産を売却する場合には、自己資金で住宅ローンを返済するのか、また、不動産の売却代金をもって住宅ローンを返済するのかを算段するためにも売却査定価格の把握が必須となります。現在、不動産の売却を検討中であれば、早め早めに売却査定依頼をすることで売却計画を確実なものとしてください。
抵当権抹消に関わる手続きは、安全・安心に不動産売却を進めるための重要な手続きとなりますので、不動産仲介会社の担当スタッフと事前に打合せをしながら手続きを進めていきましょう。
なお、抵当権抹消手続きの詳しい方法についてはこちらも参考にしてください。
土地を売る時のポイントについて詳しく知りたい方は、こちらもお読みください
小林弘司
不動産コンサルタント/不動産投資アドバイザー
東京生まれ、東京育ち。海外取引メインの商社マン、外資系マーケティング、ライセンス会社などを経て、現在は東京都内にビル、マンション、アパート、コインパーキングなど複数保有する不動産ビジネスのオーナー経営者(創業者)です。ネイティヴによる英語スクールの共同経営者、地元の区の「ビジネス相談員」、企業顧問などもおこなっています。
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