区分所有マンションとは、区分所有法(正式名:建物の区分所有等に関する法律)により定められた区分所有建物のことです。一棟の建物の中に複数の区分があり、区分ごとに所有権を持つ人がいる状態の建物のことを指しています。「区分」は、明確に壁などで仕切られ、独立した構造になっていなければならないのが特徴です。
また、構造だけでなく、利用するうえでの独立性も求められます。同じような構造で、賃貸アパートなどを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、1人の大家さんが一棟ごと所有している場合は、区分所有建物にはなりません。
専有部分は、区分所有法第2条3項に定められた通り、区分所有者が所有権を持ち、自由に使っていい部分です。一方、共用部分は、区分所有法第2条4項に定められた通り、エントランス部分や廊下やエレベーター、階段などマンションの住人が共同で使っている部分を指します。
共用部分の所有権は、区分所有者全員が、各戸の面積割合に従い所有しています。なお、共用部分の持分の権利については、区分所有法第15条により、区分所有者が勝手に専有部分の権利と分離することはできないよう定められています。共有部分に相当するのは、主にマンションの外壁やバルコニー、専用庭があげられます。バルコニーや専用庭は、各区分所有者が占有しているために、共用部分という認識がない人もいらっしゃるかもしれませんが、この機会に是非覚えるようにしましょう。
たとえば、「専用庭は使ってないからこの部分だけ売りたい」と思っても、専用庭は共用部分にあたるため、区分所有者では売却できません。
また、マンションの廊下も共用部分であるため、勝手に物を置いてはいけないなどの規制がマンションの管理規約に定められていますので、覚えておきましょう。
区分所有マンションを売却する場合は、専有部分を売却することで「共用部分の所有権も同時に手放すことになる」「共用部分だけ勝手に売却することはできない」という点を押さえておきましょう。
さて、専有部分と共有部分について整理できたところで、区分所有マンションを売却する際に役に立つ「相場について知る方法」や「売却する際のコツ」についてご紹介します。
適正な価格かどうかを判断していくためにも、売主様ご自身が売却する区分所有マンションの相場感を把握しておくことは大切です。区分所有マンションの相場を知るお手軽な方法としては、不動産関係のポータルサイトで検索する方法があります。
同じマンションで売りに出している部屋があれば、かなり参考になるはずです。ただし、不動産ポータルサイトで表示される価格は、成約価格ではなく売出価格なので、売主様の言い値であることに注意しましょう。
実際の成約価格を知りたい場合は、国土交通省の「土地総合情報システム」や、国土交通大臣指定の「レインズマーケットインフォメーション」でも検索して調べることができます。
自分である程度の相場感を確認できてきたら、次にマンション売却の仲介をお願いする不動産仲介会社選びに進みます。このときのコツは、複数の会社に査定を依頼することです。1社だけに査定を依頼したとしても、査定価格が妥当かどうかの判断は難しいでしょう。複数の会社が出す査定価格と、ご自身が確認した相場と比較して、さらに精度の高い相場が見えてきます。
また、複数の不動産仲介会社に依頼することで、担当者とやり取りをする機会が増え、より相性の良さそうな会社を見つけられる可能性も高くなります。売主様にとって、重要な取引となりますので、信頼できる不動産仲介会社を見つけることは、マンション売却を成功させるうえで、非常に大切なポイントです。
区分所有マンションの売却に際し、もう一度区分所有マンションの特徴、とくに専有部分と共用部分の扱いなどを整理してお伝えしました。区分所有マンション売却の際は、共用部分のみの売却はできないこと、売却のためにリフォームする際も共用部分のバルコニーや専用庭は勝手にリフォームしてはならないことは、しっかりと覚えておきましょう。
区分所有マンションの売却に際しては、ご自身でも売出価格や成約価格の相場を確認した後、複数の不動産仲介会社に相見積もりを取るようにしましょう。複数社に査定を出すなら、最大6社に一括で依頼できる「すまいValue」が便利です。ぜひ活用して、区分所有マンションの売却を成功させましょう。
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田井 能久
不動産コンサルタント
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。
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