第2回「サラリーマン新井彰伸、仲介会社に自宅の売却を依頼する(媒介契約を結ぶ)」

第2回「サラリーマン新井彰伸、仲介会社に自宅の売却を依頼する(媒介契約を結ぶ)」

簡易査定を依頼した仲介会社数社から簡易査定結果を受け取った新井家。第2回は、訪問査定をきっかけに、信頼できる担当者と出会い、正式に媒介契約を結ぶまでのストーリーをお届けします。

登場人物

新井 彰伸
新井 彰伸
(あらい あきのぶ)
新井家の大黒柱。電機メーカー勤務。好きな食べ物はエビフライ。O型。
新井 寛子
新井 寛子
(あらい ひろこ)
新井家をささえるしっかりママ。趣味はペナント集め。A型。
田中 誠
田中 誠
(たなか まこと)
不動産仲介(株)A社勤務の敏腕営業。名前の通り誠実さがモットー。

訪問査定ってどんな準備が必要?

彰伸と寛子は、各社から届いた価格と売却活動の提案内容を見比べて、特に気になったA社に、訪問査定を依頼することに決めた。

彰伸:
「そういえば、山本が仲介会社に住み換えを依頼したときに、初めに対応してくれた担当者が最後まで窓口になってくれたとか言っていたな。その担当者がいろいろとアドバイスしてくれたおかげで、家を売るのも買うのもスムーズにいったって」
寛子:
「そうなんだ。やっぱり担当してくれる人って大事よね。頼りになりそうな人じゃないといろいろ相談もしづらいし」
彰伸:
「じゃあ、訪問査定の申込みはメールじゃなくて電話でしてみるか。もし対応してくれた人が担当者になるんだったら、実際に話をした方が少しでも人柄がわかるだろ?」
寛子:
「そうね、それがいいわ」

そして、A社に電話をかけた彰伸。窓口に立ってくれたのは、田中という物腰が柔らかい男性スタッフだった。

田中:
「かしこまりました。それでは、訪問する日時についてですが、新井さまのご希望はございますか?」
彰伸:
「訪問査定をお願いするのは初めてなのでよくわからないんですが、家を見てもらうのにいい時間帯ってあるんですか?」
田中:
「そうですね、できればマンションの管理人さんがいらっしゃるときや、室内の陽当たり具合を確認できる午前中だと、より査定もしやすいです。ですが、もちろん新井様のご都合に合わせてお伺いします」
彰伸:
「ちょっとこのまま待っててもらえますか」

田中の説明を受けた彰伸は寛子と相談した結果、次の木曜・金曜あたりが、都合が良いという話になった。

彰伸:
「じゃあ、来週の木曜か金曜の午前中でお願いできれば」
田中:
「では、木曜の午前11時にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょう?」
彰伸:
「わかりました。それでお願いします。それまでにこちらで何か用意しておくものってありますか?」
田中:
「マンションの権利書(※)はお持ちですか?登記済証と書いた書類です。それを確認させていただいて、あとは…」

田中の話によると、その他にマンション購入時のパンフレット、契約書類などが手元にあれば用意しておいてほしいとのことだった。

MEMO

訪問査定時に必要な書類1
権利書は、不動産の売買等による権利の保存・移転などの登記をしたときに、登記所から交付される登記済証のことを言います。
他に不動産売買において登場する書類として以下のようなものがあります。

・登記簿謄本

土地・建物に関する所在・面積、所有者の住所・氏名、その物件の権利関係等が記載された「不動産登記簿」の写しで、登記所で手続きすれば誰でも交付を受けられます。

・固定資産税評価証明書

固定資産の評価額と年税額を記した書面になり、市町村が発行。原則、所有者本人にしか交付を受けられません。

公図

登記所に備えられた土地の地図のことで、手続きすれば誰でも閲覧でき、写しの交付も受けられます。

A社の田中との電話を終えた彰伸と寛子。まずは、誠実そうな会社と担当者であることに安堵した二人は、訪問査定の日に向けて、さっそく準備に取り掛かった。

訪問査定ではどんなところを見られる?どんなことを聞かれるの?

A社の田中は約束通り、木曜の午前11時にやってきた。彰伸と寛子と挨拶をかわした後、さっそく室内を隅々まで調査する。

田中:
「新築で購入されて15年ですか。大変きれいにお使いですね。これまでに修繕されたお部屋の場所や交換された設備などはありますか?」
彰伸:
「2年前に給湯器を交換して、あと畳は去年に表替えしたばかりです。それと…、そうそうこのマンションは大規模修繕も済んだばかりで、共用部分はとてもきれいになっているはずです」
田中:
「そうなんですね。あとで共用部分も見せていただきますね」
訪問査定ではどんなところを見られる?どんなことを聞かれるの?

ひと通り専有部分を見終えたA社の田中は、今度はひとりで共用部分をまわり、1階の管理人さんにも会ってきたという。

寛子:
「共用部分はどんな感じでしたか?」
田中:
「ええ、管理人さんも良い方で、管理、清掃もしっかり行き届いたマンションのようですね。駐車場と駐輪場の空き具合をうかがい、管理組合の総会資料の控えもいただけるようにお願いしてきました。新井様のお手元に、管理規約(※)があれば拝見させていただけますでしょうか」

MEMO

訪問査定時に必要な書類2

・管理規約書

区分所有のマンションの管理組合が決める管理規約を書面にしたもので、共用部分から専有部分に至るまで、その利用や管理の制限、ルール等が記されています。

お手元にあれば、営業担当者にご提示ください。

彰伸が訪問査定の依頼時に言われた必要書類の中で、固定資産税評価証明書の用意が間に合わなかったことを伝えると…。

田中:
「大丈夫ですよ。評価証明書は委任状をいただければ、こちらでも手配することが可能ですので」
彰伸:
「仕事が忙しかったもので、助かります。それで、査定価格の方ですが…?」
田中:
「今日拝見させていただいた私の印象ですが、3,500万円という価格で売りに出せるんじゃないかと思います」
彰伸:
「え、そんなにですか?」
寛子:
「予想していたよりもいい価格でうれしいんですけど、その…本当に大丈夫ですか?売れないと困るし」
田中:
売却提案書を作成するまでは明言できませんが、マンションはなんといっても立地が決め手です。ここは駅にも比較的近く、大型のショッピングセンターや病院といった施設も駅前に充実していますから、築15年の他の物件に比べて資産価値が高く、引き合いも多いと考えます。それに加えて共用部分の管理も行き届いていますし、簡易査定幅の上限あたりでも売却可能なんじゃないかと」
寛子:
「本当ですか、うれしい!あと、修理しておいた方が良い場所なんてありますか?クロスもところどころ破れてはいるし」
田中:
「今の程度ならそのままで大丈夫です。中古マンションは購入時にリフォームをされる方も多いので、売買契約の交渉時に修理するかどうかを決めれば良いと思います。それよりも、マンションによってはリフォームに制限が設けられているところもありますので、そのあたりは管理規約書で調べてみますね」

そして、訪問査定も無事に終わり…。

田中:
「それでは、後日、正式に売却提案書をお送りしますね。それまでにご不明な点など出てきましたら、いつでもお気軽にご連絡ください」
寛子:
「ありがとうございます」
彰伸:
「売却提案書、楽しみにしていますね」

媒介契約って何?契約内容の違いは?

数日後、A社から売却提案書が新井家に届いた。彰伸・寛子は、やや緊張気味に提案書の内容に目を通す。

彰伸:
「売り出し価格は田中さんの言っていた通りだね。この資料を見る限り、裏付けもちゃんとあるし大丈夫そうだな。…ん?この媒介契約ってなんだろう」
寛子:
「売買契約の間違いじゃなくって?初めて聞く言葉ね」
彰伸:
「契約に関わる大事なことだし、田中さんに聞いてみた方が良さそうだな」

彰伸はA社の田中に電話して聞いてみることにした。

田中:
「あ、新井さま!こんにちは。売却提案書が、そろそろお手元に届いた頃ではないかと思っていたところです」
彰伸:
「さっそく拝見させていただきました。ありがとうございます。査定価格はとても納得できるものでした。売却活動に関する内容も参考になり、妻もとても喜んでいます」
田中:
「それは何よりです」
彰伸:
「ただ、提案書の内容に見慣れない文字があったので連絡したのですが、媒介契約って何ですか?」
田中:
「媒介契約というのは、私たち仲介会社にご自宅の売却を正式に依頼する際に必要な契約になります。契約形態には専属専任媒介契約専任媒介契約一般媒介契約の3種類があり、それぞれ仲介会社が行うべき義務や内容が定められているんです」
彰伸:
「そうなんですね。それで、どのような違いがあるんですか?」
田中:
「まず専属専任媒介契約は、1社の不動産会社とのみ契約を結ぶことになり、他の不動産会社に重ねて仲介を依頼することはできません。親戚や知人など売主様自ら見つけてきたお相手でも、その1社を通して売買することが法律で義務づけられているんです。ただ、不動産会社が売却活動から買主への条件交渉まで全て行い、窓口も1本化できるので、売主様にとっては手を煩わされないという長所があります」
彰伸:
「1社しか契約できないけど、その分手間がかからないわけですね」
田中:
「そういうことになりますね。次に専任媒介契約ですが、専属専任媒介契約と同様、1社の不動産会社とのみ契約する形になります。ただし、売主様自ら見つけてきたお相手と直接売買することが可能になり、その分売却時の選択肢も増えるのが特徴です」
彰伸:
「手間がかからなくて選択肢も増えるなんていいですね」
田中:
「そうですね。多くの売主様はこちらの契約を選択されます。最後に一般媒介契約ですが、複数の不動産会社に仲介を依頼することができます。また売主様自ら見つけてきたお相手とも直接売買することも可能です。ただその分、複数の会社とやり取りする必要がありますので、管理する手間はかかりますね」
彰伸:
「う〜ん、それぞれに良い点悪い点があるんですね。よく考えて決めないとな」

売却時の保証サービスや残った住宅ローンについても尋ねてみた

彰伸:
「あと2つほど質問していいですか?」
田中:
「もちろんです」
彰伸:
「売却提案書に、設備の保証サービスについて書かれていたんですが、もう少し詳しく聞かせてもらえませんか?」
田中:
「はい。一般的な売買契約では、売却された後でも一定期間、設備や建物に欠陥が見つかった場合に売主様側の責任になることがあります。そのようなときに備え、弊社では事前に調査した箇所で、お引き渡し後に設備の故障や建物の不具合が見つかった場合、その修理・交換費用を負担させていただきます」
彰伸:
「それは安心ですね。家を売った後に買ってくれた人ともめるなんて絶対避けたいですし。あと、住宅ローンがまだ残っているんですが、その場合は…」
田中:
「売買契約が成立すれば、代金の決済時に売却代金の中からローンの残債分を銀行に振り込む形で返済できますので、心配ありませんよ」
彰伸:
「ありがとうございます。いろいろお話を聞けてとても参考になりました。今日聞いた話を踏まえて、正式に仲介をお願いするかどうか連絡させてもらいますね」
田中:
「はい。大切なお住まいのことですので納得が行くまでご検討ください。ご連絡お待ちしております」

電話を切った後、その日の夜遅くまで二人で話し合った彰伸と寛子。A社の田中と何度かやりとりを重ねるうちに、信頼感が増しただけでなく、これまで抱いていた売却に対する不安もずいぶん和らいでいた。そして、この会社ならきっと最後までしっかりサポートをしてくれるだろうと確信し、専任媒介契約をA社と結ぶことに決めた二人だった。

売却時の保証サービスや残った住宅ローンについても尋ねてみた

【次回告知】
次回は、サラリーマン新井彰伸「仲介会社と自宅の売却活動をはじめる」編をお届けします。お楽しみに!

連載2017.01.26

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