「サラリーマン新井彰伸、買主と自宅の売買契約を結ぶ」

「サラリーマン新井彰伸、買主と自宅の売買契約を結ぶ」

A社による売却活動によって、実際に家の中を見たいという買主候補が現れた新井家。第4回では、物件内覧から価格交渉、住み換え先の検討、必要書類の準備を経て、無事に売買契約を結ぶまで、新井ファミリーの奮闘する姿を紹介します。

主な登場人物

新井 彰伸
新井 彰伸
(あらい あきのぶ)
新井家の大黒柱。電機メーカー勤務。好きな食べ物はエビフライ。O型。
新井 寛子
新井 寛子
(あらい ひろこ)
新井家をささえるしっかりママ。趣味はペナント集め。A型。
田中 誠
田中 誠
(たなか まこと)
不動産仲介(株)A社勤務の敏腕営業。名前の通り誠実さがモットー。
鈴木夫妻
鈴木夫妻
(すずきふさい)
今回の買主候補。10歳の息子と3人暮らし。趣味はボルダリング。

物件の内覧ではどんなところをチェックされる?何を質問されるの?

内覧当日、約束の時間にA社田中が買主候補の鈴木夫妻を伴って訪れた。寛子は緊張しながらも精一杯の笑顔で迎えた。

 田中:
「新井様、本日はよろしくお願いいたします」
(鈴)夫:
「はじめまして。鈴木と申します。今日はよろしくお願いします」
 寛子:
「はじめまして、新井と申します。こちらこそよろしくお願いします」

挨拶を交わすと、まずはリビングへと案内する寛子。

挨拶を交わすと、まずはリビングへと案内する寛子。
 寛子:
「ご遠慮なく、ゆっくりご覧くださいね」

そう鈴木夫妻に伝えると、一人ダイニングへ。相手に気を遣わせないように隅っこの椅子に腰をかけて待つことにした。
鈴木夫妻は、田中の案内でリビング、キッチン、バスルーム、トイレ、寝室、子供部屋と、じっくり見て回り、最後に寛子のいるダイニングへと足を踏み入れた。

(鈴)夫:
「とても素敵なお住まいですね。日当たりもいいし、立地もいい。それにマンションのエントランスや自転車置き場もキレイに掃除されていました。管理がしっかり行き届いているようですね」
 寛子:
「ここは管理会社がしっかりしていて、日中は管理員さんもいらっしゃるんです。こまめに掃除もしてくれて、水回りのことなど困ったことがあるとすぐ対応してくれるので、安心して暮らせています」
(鈴)夫:
「それは頼りになりますね。もし差し支えなければ、売却される理由なども聞かせてもらえせんか?」
 寛子:
「はい。うちには15歳と10歳になる姉弟がいまして、娘の高校受験を機にもう少し広い家に引っ越そうかと考えているんです」
(鈴)妻:
「あら、奇遇だわ。うちにも10歳になる息子がいるんですよ。このあたりは何度か来たことがあって、学校も近いし、大きなスーパーや病院も駅前にあって、便利でいいなと思って、今回内覧に申し込んだんです」
 寛子:
「そうだったんですね!私も息子の学校のことや、毎日の暮らしのことを考えると迷ったんですが、子供も大きくなってきたので、そろそろ一人ひとり部屋を与えてあげたいと思いまして」

鈴木夫妻にも同じ歳の子供がいることを知り、少し緊張がほぐれた寛子。

(鈴)妻:
「そうそう、収納はご家族4人で足りています?」
 寛子:
「リビングと寝室、それと子供部屋にもクローゼットがあるんですが、わりと奥行きがあるので困ることはないですね。よろしければ、参考にリビングのクローゼットをご覧になってください」
(鈴)夫:
「それは有難い。ぜひ、拝見させてください」

この日のためにクローゼットの中もしっかり整頓していた寛子だった。

(鈴)妻:
「確かに奥行きがあって、荷物もたくさん収まりそうだわ。…あの収納棚は取り外しできるんですか?」
 寛子:
「できますよ。はじめの頃は外して使っていたんですけど、暮らしているうちに小物が多くなってきたので、また利用しています」

その後、話題は家の中からご近所付き合いのことに移り、トラブルもなく、マンション住民同士の交流も盛んで、夏には盆踊り、冬には餅つき大会なども開かれることを話す寛子。その話を聞き、息子もきっと喜ぶだろうと優しそうな笑顔で話す鈴木夫妻だった。
そして、内覧は無事に終わり、寛子は三人を玄関まで見送る。

(鈴)妻:
「今日は色々なお話が聞けてよかったです」
(鈴)夫:
「家の中もじっくり拝見することができたし、とても参考になりました」
 寛子:
「こちらこそ、たいしたお構いもできませんで。何か聞き漏れなどありましたら、遠慮なく聞いてくださいね」

その夜、家族みんなが揃った食卓で、寛子は内覧の様子を彰伸に報告。子供たちも興味津々で鈴木夫妻のことを寛子に尋ねた。

  葵:
「ねぇ、鈴木さんってどんな人たちだったの?」
 寛子:
「とても明るくて感じのいいご夫婦だったわ。大翔と同じ歳の息子さんがいるそうよ」
 大翔:
「そうなの!どんな子だろ…。僕も会ってみたいな」

そんなやりとりをみて、鈴木家はきっと温かい家族でこの家も大切に暮らしてくれるだろうと安心する彰伸だった。

買主候補との条件交渉は、どのように進めればいいの?

内覧の翌日、彰伸のもとに田中から電話があった。さっそく鈴木夫妻から、マンションの購入を前向きに検討したいと連絡があったと言う。
その週末、鈴木夫妻の提示条件が書かれた購入申込書(※)を持って、田中が新井家を訪れた。

受け取った書面に彰伸と寛子が目を通すと、購入希望額として3,200万円、手付金として300万円を支払い、残り代金は銀行ローンを利用。そのほか、契約希望日が1週間後、引渡し希望日が2ヵ月先と記されてあった。

 彰伸:
「3,500万円の販売価格に対して、先方の購入希望額が3,200万円か…」
 田中:
「リフォームを予定されていて、ユニットバスを交換し、間取りも変えたいと。その費用を業者に見積もりをとったところ300万円近くかかるそうなんです」
 寛子:
「さすがに300万円も下がると、この間、田中さんに紹介されて見に行った4,500万円の新築戸建ての購入も厳しくなるわね」
 彰伸:
「それは困るな。都内にも近くなって通勤も楽になるし、それに子供たちも自分たちの部屋をとても気に入っていたじゃないか」
 寛子:
「でも、鈴木さんにも事情や予算があるだろうし…。それにこの場所も本当に気に入ってるようだったわ」
 彰伸:
「……よし。どこまで値下げできるか、一度考えてみるか」
 田中:
「ありがとうございます。私もできる限り鈴木さんに掛け合うようにします。それと、新築戸建てももう少し値引きできないか交渉してみますので」
 彰伸:
「それは助かるな。頼りにしています」

その夜遅くまで、資金について練り直す彰伸と寛子。色々やりくりすると200万円までの値下げなら、新築戸建ての購入もなんとかなりそうな算段がついた。
そのことを翌日、彰伸は田中に電話で伝えた。

 彰伸:
「あ、田中さんですか。昨日あれから検討してみたんですが、200万円までの値下げならこの間の戸建ても購入できそうなんです」
 田中:
「ということは、3,300万円ということですね。さっそく鈴木さんに掛け合ってみます。それと、新築戸建てですが、値引き交渉してみたところなんとか4,300万円に下げてもらえそうです」
 彰伸:
「本当ですか!いや、助かります、田中さん」
 田中:
「いえいえ、新井さんも値下げをご検討くださってありがとうございます」

数日後、田中から彰伸に電話があった。買主候補が3,300万円で承諾し、値下げに応じてもらえたこともとても感謝していたと言う。
会社から家に帰るとすぐに寛子に報告する彰伸だった。

 寛子:
「本当によかったわね!新築戸建ての値引きも考えたら、ほぼ予定どおりの資金繰りじゃない?」
 彰伸:
「そうなるか!ほんと田中さんのおかげだな」

MEMO

購入申込書(交渉依頼書)について
不動産物件の購入意思を売主に伝えるための書面。購入希望金額、資金の調達方法(ローンなど)、契約希望日、引渡し希望日、手付金の額、その他、取引条件(希望する特約条項等)などが記載されています。

売買契約へ向けて、どんな準備が必要になるの?

翌日、田中から売買契約に向けて準備を進めたいと、彰伸に電話があった。なんでも売却後のトラブルを防ぐため、売買契約を結ぶ前に買主に対し物件や契約条件に関わる重要事項説明(※)を行うと言う。
その際に必要な書面を作成するために、再び夕方、田中が新井家に訪れた。

売買契約へ向けて、どんな準備が必要になるの?
 田中:
「今日は、ご自宅の売出し前に作成いただいた、新井様宅の現況を鈴木様に告知するための物件状況等報告書(※)と、付帯設備表の再確認をお願いできればと」
 彰伸:
「わかりました」
 寛子:
「売ってからのトラブルは避けたいですものね」
 田中:
「もし、売却後の一定期間内に設備の不良などが見つかった場合、売主側の責任になる場合があります。ただ、売却提案時にもお話しましたが、弊社ではそのような場合に修理・補修費用を一定額負担するサービスもご用意しておりますのでご安心ください」
 彰伸:
「それはありがたい」

書面を作り終えると、売買契約時に必要な準備を田中に尋ねる彰伸。

 彰伸:
「契約日に、こちらで何か持参する必要はありますか?」
 田中:
「改めて書面でお伝えしますが、当日必要になるのは印鑑と収入印紙代になります。印紙そのものは弊社でご用意します。また、手付金の領収書もこちらでご用意しますので」
 彰伸:
「わかりました。それでは当日、よろしくお願いします」

MEMO

重要事項説明について
宅地建物取引業者が、売買契約の締結に先立って、買主に対して契約上の重要な事項を法律に基づき説明すること。この重要事項説明にて買主に交付する書面を「重要事項説明書」と言い、取引される物件の権利関係と法的制限、物件の状態、契約の条件などが記載されています。
告知書(付帯設備表、物件状況等報告書)について
物件の過去の修繕の履歴や設備の状況など所有者しか分からない事項について、契約の前に買主に告知することによって、将来の紛争を防止するための書面のこと。具体的には付帯設備表、物件状況等報告書があります。

いよいよ売買契約。無事に締結するために、何を確認すればいい?

売買契約の当日、彰伸と寛子は少し改まった服装でA社へ訪れた。オフィスの奥にある商談スペースに案内されると、そこにはすでに鈴木夫妻の姿が。

 寛子:
「先日はどうもありがとうございました。なんだかあっという間に日にちが経っちゃいましたね」
(鈴)妻:
「本当にそうですね。内覧させていただいたのが、つい昨日のことみたいです」
(鈴)夫:
「今回はいろいろご無理を聞いていだだいて、ありがとうございます」
 彰伸:
「いえいえ、こちらこそ本当にありがとうございます」
 田中:
「それでは、さっそくですが売買契約に先立ちまして、まずは鈴木様に重要事項のご説明から始めさせていただきますね」

田中は、自身の宅地建物取引士資格の証明書を買主に向けてテーブルに置き、重要事項説明書を読み上げる。続いて付帯設備表、物件状況等報告書の説明を行い、彰伸と寛子もその様子をじっと見守る。

それが終わると、鈴木夫妻からマンションの管理規約や、ゴミ出しのルールなどについて、2つ、3つ質問があり、それに答える彰伸。そして、鈴木夫妻は説明を受けた書面に判子を押した。
いよいよ売買契約。無事に締結するために、何を確認すればいい?
田中:
「それでは続いて、売買契約に移りたいと思います。一つひとつが売買契約を交わすうえで大切な項目になります。ゆっくり読み上げますので、わからない点などあれば、途中でも遠慮なくご質問ください」

彰伸や寛子、鈴木夫妻の質問に都度答えながら、田中は噛み砕いた言葉で皆が理解できるよう契約書を読み上げた。

 田中:
「契約書の説明は以上になります。それでは、売買契約書(※)に署名と捺印をいただきたいのですが、問題ないでしょうか」
 一同:
「大丈夫です」

彰伸と寛子も、鈴木夫妻も承諾し、契約書に印紙を貼って署名し、印鑑を押した。

田中:
「以上で手続きは終了です。皆さま、長い時間ありがとうございました」

そうして、新井家の売買契約は無事に締結。買主候補が見つかってからは、いろいろやることが多く、手続きも複雑で、価格交渉も必要になった。けれど、田中のサポートのおかげで、思っていたよりもずっとスムーズに理想の住み換えが実現できそうなことに、有り難く思う彰伸と寛子だった。

MEMO

売買契約書について
高額な資産である不動産の売買契約は、一般的に契約書を作成して取り交わします。宅地建物取引業法でも、宅地建物取引業者に対し、契約が成立したら遅滞なく契約内容を記載した書面を、宅地建物取引士の記名押印の上で交付することを義務づけています。売買契約書には、物件の表示、売買金額、手付金の額、契約履行の期限、解除の条件、違約金等の設定、瑕疵担保責任についての取り決め等が記されています。

【次回告知】
次回は、サラリーマン新井彰伸「買主に自宅を引き渡す」編をお届けします。お楽しみに!

連載2017.03.27

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