土地(宅地)を売りたいが、信頼できる不動産仲介業者をどのようにして見つければよいだろうか、土地はいくらぐらいで売れるのだろうか、もし売れなかったらどうしようか、手続きが煩雑なのでは?などと悩んでいる方もおられることでしょう。
そこで、土地を売る場合の流れや手続き、土地を売るのに必要な費用、土地を賢く売るポイントなどについて解説します。
土地を売る場合、流れをふまえることが大事です。そこで、まず、土地を売る流れについて説明します。
土地を売る場合、少しでも高く売れるように、不動産仲介会社に査定を依頼する前に、まず自分の土地の相場をチェックすることが大事です。その方法として、インターネットの不動産情報サイトなどで周辺の土地が売りに出ている価格を調べます。
土地の実勢価格が相場を表しているので、実勢価格を国土交通省の「土地総合情報システム」(https://www.land.mlit.go.jp/webland/)の、「不動産取引価格情報検索」(https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet)にアクセスすると、公示地価や都道府県地価調査データ、実際の取引価格情報も検索できます。
個人で調べることもできますが、その後の展開を見越してこの段階で不動産仲介会社に相談することをおすすめします。
土地を売却する際には、隣接地との境界を明確にしておかなければなりません。境界が曖昧な場合や、登記されている土地面積が実際と異なる場合、トラブルの原因になります。そのために必要なのが、地積測量図や境界確認書です。確定測量図が家に保管されていれば、道路を含むすべての境界が確定済みということを意味します。
実際の土地でコンクリートや金属などの境界標を確認することも大事です。境界標は、移動したり無くなったりすることもあるので、注意が必要です。境界標がなく、書類もない場合、あるいはどちらもあっても古い場合(昭和年代など)、測量技術も異なるので土地家屋調査士に作成や設置を依頼する必要があり、その場合、時間と費用が掛かるので注意が必要です。
また、登記簿上の面積が、測量後の面積と異なる場合は、査定額や売出価格に影響するので、不動産仲介会社の査定の前に確定測量を行っていることを確認します。
準備が整ったら、不動産仲介会社に土地の査定を依頼します。査定とは、不動産仲介会社が、土地の立地条件や形状、市場動向などから売却価格を算出する作業のことです。土地の売却がスムーズにいくかどうかは売却価格が相場と見合っていることが重要で、そのために査定を受けることが大切です。
査定には、簡易査定と訪問査定があります。簡易査定は、インターネットなどで土地の住所、面積などの情報を伝えると、物件情報、公示価格、周辺取引事例、市場動向などを考慮して、机上で価格を算出するもので、依頼から1~2日で査定価格が示されます。
簡易査定をしてもらった会社の中から、対応がよかった会社や価格が妥当な会社を3社程度に絞って、訪問査定を依頼します。訪問査定は不動産仲介会社が土地を実際に確認し、隣地との境界や水道・ガス等の配管状態などを点検して価格を算定するもので、査定価格は1週間ほどで報告されます。
査定価格が報告されたら、その中から、納得できる会社を選び、媒介契約を結びます。媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあります。それぞれの特徴は、下表のとおりです。
媒介契約の種類 | 契約の特徴 |
---|---|
一般媒介契約 | 複数の不動産仲介会社に依頼することができる契約で、自分で見つけてきた買主様とも契約することができる。 |
専任媒介契約 | 専任媒介契約は仲介を1社の不動産仲介会社にのみ依頼する契約で、自分で見つけてきた買主様とも契約することができる。 |
専属専任媒介契約 | 専属専任媒介契約は仲介を1社の不動産仲介会社にのみ依頼する契約で、売主様が自分で見つけてきた買主様についても、依頼した仲介会社を通して取引することが義務づけられている。 |
媒介契約を結ぶと、売出価格を決めます。売出価格は、査定価格を参考に、周辺の売却事例も聞いて決めましょう。
価格が決まれば、不動産仲介会社は、売却活動を開始します。不動産仲介会社では、不動産物件情報交換のためのコンピュータネットワークシステムである「レインズ」や、各種ポータルサイト、広告媒体などに物件の情報を掲載します。
売却活動が始まると、専任媒介契約、専属専任媒介契約の場合は、不動産仲介会社から活動状況の報告があります。購入希望者が現れた時や、値引き交渉がある場合、不動産仲介会社と相談します。購入希望者が現れない場合は、売出価格を見直すことも必要になります。
購入希望者から購入申し込みをもらったら条件の調整を経て、売渡承諾を行い、売買契約の手続きに入ります。売買契約締結までに、売却価格、決済方法、引き渡し時期などの詳細について決めます。
不動産仲介会社は契約に必要な売買契約書や重要事項説明書を用意してくれるので、内容を確認しておきます。契約当日までに、不動産仲介会社から買主様に対して重要事項説明をします。そして、売買契約を締結し、買主様からの手付金を受領します。
決済・引渡しの日に残代金の受領と領収書の発行、固定資産税などの諸費用の清算、所有権の移転登記手続き、必要書類の引き渡しなどを行います。通常、決済と引き渡しは同日に行います。
土地の価格には、実勢価格、公示地価、相続税路線価、固定資産税評価額の4種類があります。これは「一物四価」と言われ、目的によって価格が変わります。地価のしくみを知ることで、土地を売るかどうかの判断材料にしましょう。
実勢価格とは、実際の土地取引をベースにして割り出される価格です。国土交通省が、土地を購入した買主様に対して行ったアンケート調査による価格なので、実際の取引価格を参考にできます。
しかし、実勢価格は売主様と買主様のそれぞれの事情で売買されるので、適正価格より高い場合や安い場合などさまざまです。
公示価格は、土地取引の指標となるように、法律に基づいて算出される価格のことで、国土交通省の土地鑑定委員会が公示します。評価時期は毎年1月1日時点で3月中旬に公表されます。
しかし、全国土を評価するのは現実的に困難なので、地域の代表的な土地を標準地として価格を算出し、公表されます。
相続税路線価は、相続税や贈与税を計算するときの基準になる評価額のことです。土地に面する道路の路線価で算出するもので、国税庁が毎年1月1日時点で定め、7月に公表される財産評価基準書で確認できます。相続税路線価は、公示地価の8割ほどになります。
固定資産税評価額は、固定資産評価基準をもとに各市町村が個別に決める評価額です。固定資産税を計算するうえでの基準となります。土地の固定資産評価額は、公示地価の7割ほどが目安です。しかし、同じ地域でも土地の場所、面積、形状、道路への接し方などにより評価額は異なります。
土地を売るためには各種の費用がかかります。どのような費用が掛かるかを把握しておかないと、売却益が出ないこともあります。また、売却益が出た場合、税金がかかります。土地を売却する場合、これらの費用・税金をふまえておく必要があります。
土地を売却する場合、隣の土地との境界を示す境界標がないと境界が判別できないことがあり、トラブルの原因になります。そのため、隣の土地や道路との境界を確定しておく必要があります。また、隣地などへ越境物(樹木など)があるときは、解消しておくと境界を確定する際に、隣地の承諾が得やすくなります。
境界を確定する場合は、土地家屋調査士に依頼して、確定測量図と境界確認書を作成してもらいます。その測量や書類の作成などにかかる費用は、面積が広くなるほど費用が掛かり、一般的には数十万円になります。
土地の売却が決定し成約した際は、規定の仲介手数料を不動産仲介会社に支払います。
国土交通省の告示では、仲介手数料の上限金額は、売買物件の金額により以下の方法で計算できます。
不動産の取引価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 取引価格×5%+消費税 |
200万円超400万円以下 | 取引価格×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 取引価格×3%+6万円+消費税 |
土地の売買契約を結ぶときに印紙税がかかります。印紙税とは、不動産売買契約書に貼付する印紙代のことです。
印紙税は、土地の価格によってきめられています。本来徴収される税額に対して適用される軽減税は以下の通りです。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
※不動産売買契約書に課せられる印紙税の軽減は、令和6年3月31日までの適用です。
土地を売買した場合、その土地の所在や面積などの状況、所有権や抵当権などの権利関係を明らかにするために不動産登記を行うので、 登記にかかった費用を支払います。
不動産登記費用には、以下のようなものがあります。
売主様は土地の売却時、司法書士への報酬を支払います。司法書士は土地に設定された抵当権の抹消登記などについて、売主様からの委任状によって売主様の代理人として登記を行います。
土地を売ったときの譲渡所得には所得税と住民税がかかります。これらは分離課税と呼ばれ、ほかの所得とは別に計算されます。譲渡所得は所有期間によって2種類あります。その土地の所有期間が売却した年の1月1日時点で5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得になり、それぞれ適用する税率が異なります。
長期譲渡所得では所得税15%、住民税5%、短期譲渡所得では所得税30%、住民税9%となります。令和19年までは、復興特別所得税により、長期では所得税が15.315%、短期では所得税が30.63%になります。各種特例があります。
土地の売却では、その土地が工場跡地などの場合、後に土壌汚染が判明することがあるため、事前に土壌汚染調査を行うことがあります。その調査費は売主様の負担になります。また、地中埋設物(ガラや浄化槽など)が出た場合は、撤去費用を払う場合があります。
土地を適正な価格で、早く、確実に売るために、押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
土地は長い間放置していると、雑草が生えたり、ゴミを捨てられたりして印象が悪くなります。立地条件などがよく、せっかく購入希望者が現れても、現地を案内したときの印象が良くない場合は、値引きの交渉をされかねません。現地を案内する前に、土地の整備・清掃を行って、よい印象を与えることが大事です。
売りづらい土地の場合、早い段階で不動産仲介会社に買い取ってもらう手があります。個人に向けて売却するよりも価格は安くなるというデメリットはありますが、ずるずると売れ残って固定資産税を支払い続けるよりも買取で現金化したほうがよいケースもあります。
買取の場合、売却条件が確定できるというメリットがあります。買取には「即時買取」と「買取保証」があります。即時買取は不動産仲介会社に物件をすぐに買い取ってもらう方法です。
一方、買取保証は「買取保証付きの仲介」になります。もし仲介で売却できた場合、市場価格に近い価格で売れるので、売却を急がないのなら買取保証のほうがお得になります。
土地にはそれぞれ個性があります。形が四角ではない、やや傾斜している、閑静な住宅街にある、駅から近い、など土地にはその土地しかない特色があります。
土地の売却にはこのような土地の個性を把握することが必要になります。土地を売却するなら、その地域・エリアに精通した不動産仲介会社に依頼することがおすすめです。
土地を売却するには、まず売却を考えている土地の相場を確認する必要があります。今はインターネットで簡単に査定してもらえる簡易査定の利用が当たり前になっています。土地を賢く売るには簡易査定の1つである一括査定サイトを利用することがおすすめです。
「すまいValue」一括査定は、インターネットにより無料で査定依頼が行えます。物件、都道府県、市区町村などを選択し、60秒の入力で、土地売却に精通した信頼できる大手6社に査定依頼ができます。
公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。
該当の住所を選択してください
該当の住所を選択してください