不動産を売却する際には、事前に自分で不動産の相場を調べておくと、売却がスムーズに進められます。不動産の相場を自分で調べるときは、信頼のおける情報を参考にしたいところです。
この記事では不動産の相場を自分で調べる方法や、土地の相場を把握するのに役立つ「4つの価格」について解説していきます。
売主様自身で事前に不動産の相場を調べておけば、大まかな相場観をつかんでおくことができます。
不動産を売却するにあたっては、プロである不動産仲介会社に査定を依頼するのが一般的。売出価格(実際に広告掲載される物件の価格)は査定価格を参考にするものの、最終的に売値を決定するのはあくまでも売主様です。
売主様が相場観を理解していれば、仮に査定価格と見立てが違っていたとしても、違いの理由を理解しやすくなります。また、適正価格での売却にもつながりやすくなり、不動産売却をスムーズに進められる可能性が高まるのです。
不動産の相場を自分で調べる方法には、以下の3つがあります。それぞれの方法でどのような価格を検索できるのか、具体的な手順とあわせて解説します。
レインズマーケットインフォメーション(REINS Market Information)とは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理する不動産流通標準情報システムのことです。
条件別に、インターネットから不動産取引情報を閲覧できます。
〈レインズマーケットインフォメーションで指定できる条件〉
なお、不動産流通機構が運営・管理しているサイトに「レインズ(REINS)」があります。
レインズは「不動産仲介会社」が閲覧できる会員制データベースであり、レインズマーケットインフォメーションとは異なります。個人でアクセスしても不動産の相場を調べられませんので注意してください。
〈レインズマーケットインフォメーションで相場を調べる手順〉
1.相場を調べたい建物種別・都道府県・地域を選択する
「レインズマーケットインフォメーション」トップページへアクセスし、検索したい建物種別(戸建て・マンション)の枠内で、都道府県と地域を選択し「検索する」をクリックします。
2.表示されるポップアップ画面で「OK」をクリックする
1で「検索する」ボタンをクリックすると「レインズマーケットインフォメーションの情報を取引の参考にする場合の注意」が記載されたポップアップが表示されます。内容を確認し、「OK」をクリックします。
3.「検索結果」ページから相場を確認する
検索結果ページでは、間取りや築年数などの「追加検索条件」を指定できます。指定した条件の取引情報は、ページ下部の「取引情報一覧」に表示されます。相場を調べたい不動産と同様の条件を指定し、似た特徴を持つ物件の取引情報から相場を把握しましょう。
レインズマーケットインフォメーションについて詳しくは、以下の記事もご覧ください。
国土交通省が運営する「土地総合情報システム」では、実際に取引された不動産の価格や全国(標準地・基準地)の公示価格・都道府県地価調査価格を検索できます。
公示価格や都道府県地価調査価格は、不動産鑑定評価に基づいて算定される「公的な土地の価格」です。不動産の相場は、これらの価格を基準にして算定されています。
〈土地総合情報システムで実際の取引価格を調べる手順〉
1.「不動産取引価格情報検索」をクリックし、条件を指定する
土地総合情報システムにアクセスし「不動産取引価格情報検索」をクリックします。表示された画面で相場を調べたい時期・不動産の種類・地域(プルダウンで選択、またはマップから選択)を指定し、「この条件で検索」をクリックします(検索条件に時期や種類の指定がなければ、マップから都道府県のみをクリックすることも可能です)。
2.表示された地図から取引価格を調べたい地点をクリックする
1にて、地域をプルダウンで選択した場合は、指定した条件に合致する不動産取引価格情報の一覧が表示されます(1にて地域を選択した場合、ここで操作は終了です)。
地域をマップから選んだ場合は、選んだ都道府県の地図の取引価格を調べたい地点(青四角)をクリックすると、不動産取引価格情報(吹き出し)が表示されます。
3.詳細な取引価格情報を確認する
2で表示された吹き出しの「詳細表示」をクリックすると、調べたい地点の取引価格情報を確認できます。
〈土地総合情報システムで公示価格を調べる手順〉
1.「地価公示都道府県地価調査」をクリックし、都道府県を選択する
土地総合情報システムにアクセスし「地価公示都道府県地価調査」をクリックします。表示された画面で相場を調べたい都道府県を選択します。
2.相場を調べたい地域と検索条件を選択する
1で選んだ都道府県から地域を選択し、検索条件を指定します。調べたい不動産に応じて、地価公示や都道府県の地価調査、土地の用途区分などを選択し「検索」ボタンをクリックします。
3.「検索結果表示」ページから公示価格を確認する
検索条件に該当する公示価格が表示されたら、各項目の「価格(円/㎡)」欄で公示価格や都道府県地価調査価格を確認しましょう。地価情報の詳細は「詳細を開く↓」をクリックして確認できます。
なお「土地総合情報システム」で確認できるのは、不動産の売買を行った方の「アンケート結果」に基づいた価格です。適正な相場とは限らないため、ほかの方法もあわせて調べるようにしましょう。
不動産ポータルサイトでは、過去に取引された不動産の情報が掲載されています。売却予定の不動産と近い条件で検索することで、大まかな相場を把握できます。
相場検索時の条件は、以下の点に留意して指定しましょう。
また、物件広告を掲載している不動産ポータルサイトでは、売りに出されている不動産の価格をチェックできます。
上記と同様に、自分が売りたい不動産と似た条件の物件を検索し「似た不動産がいくらで売りに出されているのか」を確認しましょう。その際は「売りに出されたばかりなのか」「売りに出した後、値下げした価格なのか」といった違いに注意が必要です。
マンションは市場価格の見極めが難しい不動産です。
より適正な相場を知るには、専門家の意見や実際の査定情報もあわせてチェックすることをおすすめします。
全国のマンションの相場をチェックしたい方は、以下の売却価格情報をご覧ください。
マンション売却価格情報・一括査定
不動産の相場を把握するには、基準となる価格を知っておくことが有効です。不動産相場の基準となる地価としては、「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」「実勢価格」という4つの価格が存在します。そのため、土地は「一物四価」であると言われています。
ここでは、4つの地価のそれぞれの特徴について見ていきましょう。
「公示地価」は、毎年1月1日時点の標準地(全国約26,000地点)における土地1平方メートルあたりの価格を示したものです。価格は国土交通省の土地鑑定委員会によって決定され、毎年3月に公表されます。
公示地価は地価公示法に基づいています。公共事業の用地取得価格を算定する際の基準となるほか、この後紹介する路線価や固定資産税評価額の基準ともなる重要なものです。
そんな公示地価を補完するものとして挙げられるのが、毎年7月1日時点の基準地における土地1平方メートルあたりの価格を示す「基準地価」です。基準地価は都道府県が主体となって決定し、毎年9月に公表されます。
国税庁が主体となって決定される「路線価(相続税路線価)」は、ある路線(道路)に面する土地1平方メートルあたりの価格を示したものです。毎年1月1日時点の価格が、毎年7月に公表されます。
路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があり、単に「路線価」と呼ぶ場合、通常「相続税路線価」のことを指します。
相続税路線価はその名のとおり、土地に関する相続税や贈与税といった税金の算出基準として用いられる地価です。公示地価を基準の一つとしており、一般的に公示地価の8割程度の価格となります。
固定資産税や都市計画税などの税額を算出する際の基準となる土地の価格が「固定資産税評価額」です。
先ほど紹介した固定資産税路線価に土地面積などをかけることで求められ、各自治体によって決定されます。固定資産税評価額のベースとなる固定資産税路線価は、基準年(3年に1回)の1月1日時点における価格が、その年の4月に公表されます。
固定資産税路線価も公示地価を基準の一つとしていて、公示地価に対して7割程度の水準です。
ここまで紹介してきた地価は、いずれもある時点における基準価格でした。一方、不動産が市場で実際に売買された金額を表すのが実勢価格です。不動産における「時価」と考えればわかりやすいでしょう。
不動産の価値はマーケットの状況に応じて刻一刻変化しており、実勢価格は一般的に公示地価よりも高くなる傾向にあります。特に土地価格の変動が大きい都市部では、実勢価格と公示地価の差が大きくなるケースが多くなっています。
前章までは、自分で不動産相場を調べる方法について解説してきました。しかし、物件ごとの適正な相場を知るためには、プロである不動産仲介会社に査定を依頼する必要があります。
続いては、不動産査定が必要な理由と内容について詳しく見ていきましょう。
適正な物件の相場を知るために、なぜ不動産査定が必要なのでしょうか。それは、不動産は物件ごとに立地や条件が大きく異なり、1つとして同じ物件が存在しないからです。
土地や建物の価格は面積や立地、周囲の環境など複合的な要因で決定します。たとえ似たような条件の物件であっても「個別性」があります。まったく同じ評価の物件が存在することは考えにくく、いわゆる「一物一価の法則」が成り立ちません。
適正価格を知るためには、立地条件や物件そのものの特徴を踏まえ、個別の物件ごとに価格を設定する必要があるのです。また、同じ物件であっても取引する時期が変われば、価格も大きく変動する可能性があります。
プロである不動産仲介会社に査定を依頼すれば、不動産特有の事情を踏まえた適正価格を知ることができるのです。
不動産査定には、大きく分けて「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、フェーズに合った査定方法で依頼するのがおすすめです。
簡易査定は「机上査定」とも呼ばれ、物件に関する資料や類似取引事例のデータなどに基づき、机上のみで査定が行われます。データのみで簡易的に査定するため、スピーディに価格を算出できるのが特徴です。ただし、訪問査定に比べると査定精度は高くありません。
対する訪問査定は、不動産仲介会社の担当者が実際に現地を訪れ、物件の詳細を確認した上で査定が行われます。簡易査定で用いられるデータに加え、現地を実際に見なければわからない詳細な情報も加味して査定を実施します。
訪問査定は結果が出るまでに時間を要するものの、査定価格の精度が高い点が特徴です。
不動産査定を依頼する際に心がけたいのが、必ず複数の不動産仲介会社に依頼するということです。同じ物件であっても会社によって査定価格は異なり、1社の結果のみでは適正な査定価格を得られない可能性があります。
ただ、複数社に個別で査定を依頼するのは手間がかかるため、面倒に感じる人も多いことでしょう。
そこで活用したいのが、不動産一括査定サイト。Web上で必要情報を1回入力するだけで、複数の不動産仲介会社へ一括して査定を依頼できます。
不動産一括査定サイト「すまいValue」は、実績豊富な大手の不動産仲介会社6社に査定を一括依頼できるのでおすすめです。
不動産を売却する際、不動産仲介会社へ査定を依頼する前に、まずは自分で相場観をつかんでおきたいところです。ある程度相場を理解できていれば、不動産仲介会社とのやりとりもスムーズに進められます。
不動産の相場を自分で調べる際は、注意点をふまえつつ、以下3つの方法を活用しましょう。
方法 | 調べられる情報 | 注意点 |
---|---|---|
レインズマーケットインフォメーション |
|
会員制データベースの「レインズ」とは異なる |
土地総合情報システム |
|
過去の不動産取引情報は不動産売買を行った方のアンケートに基づく情報であり、すべてが適正な価格とは限らない |
不動産ポータルサイト |
|
相場検索時の検索条件は柔軟に指定する。 物件広告は「売出直後」または「値下げ後」の価格なのかを判断しにくい |
「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」「実勢価格」という4つの地価を確認しておけば、より精度の高い相場観を把握できます。
相場観を確認できたら、必ず複数の不動産仲介会社に査定を依頼するようにしましょう。査定依頼には不動産一括査定サイトを活用するのがおすすめです。
なかでも「すまいValue」は、実績豊富で信頼性のある大手不動産仲介会社6社が運営しており、安心して利用できます。
宮本弘幸
宅地建物取引士
1960年石川県加賀市生まれ。大学卒業後、大手ハウスメーカーの営業として20年勤務した後、地元、金沢小松、加賀で不動産・住宅の営業に携わる。2016年より、石川県小松市にて、株式会社みやもと不動産を開業。お客さまのニーズをよく共有し、最適な提案を行う営業スタイルで、お客さまに愛される不動産業を心がけている。宅地建物取引士のほか、ファイナンシャルプランナー(AFP)、相続診断士などの資格を保有。
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